荒島岳
福井県

アザミで憩うアサギマダラ



 朝4時出発。目指すは、福井の山、三ノ峰へ。しかし、大野へ着いたときには8時を過ぎている。
これでは、三ノ峰往復は無理と考え、行き先を荒島岳に変更する。分県登山ガイドしかなく地形図
は持ち合わせていない。まあ、登山道は整備されているので迷うことはないだろうが、やはり地図
がないと何となく心細い。

 
中出登山口 みどりの木陰はすずしいね



 国道158号線を離れ、勘で登山口への道を捜していると、中出登山口の標識が立っている。
「ここ、ここ。」
林道をしばらく走ると、登山口に着く。すでに数台の車が停まり、空いているところに車を停め準備
する。福井ナンバーのRV車がさらに奧へと走っていく。地元の人だろうなあ。

 ガレた林道を歩いて登る。途中にコンクリート舗装の箇所もあるが、普通乗用車では走れないだ
ろう。15分で林道終点に着く。先ほどのRV車1台だけ。案内板に沿い、ここからは山道を登る。

 蒸し暑く、たちまち汗が噴き出る。登山道はほぼ直登、ところどころで草に覆われた林道に出会
う。登山口より上は走られていないようである。
 やがて、杉の植林の中に入り、少し涼しくなる。標高750m付近に来ると、イタヤカエデの大木
が木陰を作っている。涼しいねあ。ここで小休止。
 
 カエデの森からやがてブナに変わる。ブナの木立の中に入るといっそう涼しい。足下にはトクワカ
ソウの葉。花の季節にはピンクの絨毯になることだろう。
オオバギボウシに見送られて・・・ ブナの森を行く


 ブナの若木が多く、この森が元気なことを感じさせる。オオバギボウシの花が開き、登山道を彩
り、我々を見送っている。

 ブナの森から山腹を巻く道に変わると、杉の間からダムが見える。西にある真名川ダムのようだ。
ダム湖は「麻那姫湖」というロマンチックな名が付いている。道の脇には、シモツケシュロソウ。さ
すがに木立を抜けると暑い。

 丸太に付けられた、「中出登山口2.5km 荒島岳3.3km」の金属製の標識。まだ半分も来て
ないのかぁ・・・。
 さらに山腹を歩くと、小荒島岳への登り口がある。小荒島から男性が下りて来られ、途中から藪っ
てきたので下りてきたとのこと。暑いので、我々もパスすることに。(^^;



 
シャクナゲ平はにぎやか モチガ壁を登る

 小荒島との分岐を過ぎると、すばらしいブナの原生林。道も平坦で、ブナ林を抜けるとシャクナゲ
の群生地。ほどなくシャクナゲ平に到着する。勝原(かどはら)からのコースと合流するので、ここか
らは登山者が多くなり、これまでとは一転して賑やかになる。前方には前荒島。
「かなり急な登りのようやね。」

 シャクナゲ平を過ぎると、すぐに佐開へ下りる道がある。このコースは案内の人がいないと難しい
と分県ガイドにあるが、今はどうであろうか?

 いったん下り、いよいよ登りとなる。いきなり高い階段が現れ、小柄なたぬきは一段一段上がる
に苦労する。前荒島の登りは「モチガ壁」と呼ばれる急登で、先に登っている人が休んでいる。我
々はゆっくり登っているつもりだが、何人かを追い抜く。

 
山頂へはもう少し 少しなだらかになりました

 中荒島の手前で数人の男性が休んでいて、真ん中に高校生くらいの男の子が体調を崩して横に
なっている。暑さと急登でしんどくなったのかな?

 この急登を登り切ると、それほどしんどいところもなく、前を行くグループの後についてゆっくり登る。
「これくらいのスピードやったら、しんどくないね。」
「我々は、ちょっと速く登り過ぎや・・・。」

 道がなだらかになった頃、上から、
「もうすぐ、山頂ですよ。がんばって。」と言いながら下りてくる男性。顔を見ると、登山家の岩崎元郎
さんだった。ミーハーのたぬきは、
「岩崎さん! 握手してください。」と手袋をとって握手を求める。岩崎さんは、快く応じてくださり、
「我々のグループの子が下で休んでるんです。」
と言って、先ほど休んでいた男の子の様子を見に下りて行かれた。
山頂の石仏

 登りはじめてからおよそ3時間で到着した山頂は、たくさんの人、ひと、ヒト。
「さすがに百名山は人は多いなあ。」と父たぬきはしきりに感心している。三角点から少し離れた
ところでお昼ご飯にする。目の前には開き始めたクガイソウ。無線機をつけると、扇ノ山のOAPさ
んと59でとてもクリアに繋がる。そのあと、屋島のJI5LWZさんとも繋がり、しばらくお話しする。

三角点のそばの岩崎さん 岩崎さんの登山教室

 山頂のにぎわいは、福井県山岳連盟主催の登山会の人々のようで、班毎に岩崎さんと記念撮
影をしている。それが済むと、登山教室。岩崎さんが何を話してるのかな?と近くで耳を傾けると
山の歩き方、道具の選び方などのお話しだった。熱心にメモをとる人もいる、と父たぬきは感心し
きり。


霞んでます 静かになった山頂

 山頂にあったという反射板は撤去され、山頂は360度の展望。しかし、湿度が高く靄って白山は
おろか三ノ峰も姿を見せてくれない。眼下に九頭竜川の流れと仏原ダム。雨が降らないだけでもよ
しとしなければね。

 ひらひらと目の前を横切っていくチョウチョ、渡りをする蝶で有名なアサギマダラだ。脇目もふらず
にアザミの蜜を吸っている。羽を閉じたままでなかなか開いてくれない。シモツケソウ、ハクサンフ
ウロ
カラマツソウアカバナ等々、山頂にはちいさなお花畑。
 昔はあったという祠はなくなり、石仏が露天に並んでいる。父たぬきの肩で昼寝をしようとしてい
るのはカミキリムシだろうか。

小荒島が尖っている 大きなブナの木陰を歩く

 山岳連盟の人たちが下山されたあと、我々も下山にかかる。だいぶん間をあけたつもりだったが
すぐに追いつき、シャクナゲ平までゆっくりとついて下りる。登りには気づかなかった大きなブナの
木。ここにも実がたわわに実っている。前方が開け、尖った小荒島岳がきりっと引き締まって見え
る。
林道終点に下りてきました もう少しで登山口
 シャクナゲ平で一休みし、来た道を車まで戻る。復路は太陽に向かって歩くので、暑さは格別。足
も少し痛み、車に着いたときに「やれやれ」のたぬきだった。

 車に乗り込み、大野まで出ると、荒島岳の頂上はガスの中。今度は、ブナの黄葉の頃や残雪期に
尋ねてみたいね。

 


行った日 05 7/17(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 中出登山口8:40〜林道終点8:55〜小荒島岳分岐10:25〜シャクナゲ平10:40
〜山頂11:35ー12:55〜シャクナゲ平13:45〜林道終点15:20〜登山口15:35
2.5万図 荒島岳     山行地図


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