3月になると、氷ノ山三ノ丸の雪原が夢に出てくる。もう雪もしまって歩きやすくなっているだ
ろう。
やまあそさんをリーダーに三ノ丸から戸倉峠へ歩くことになり、父たぬきは村の用事なので
ひとりで集合場所の戸倉峠へ向かう。
9号線から大屋を抜け、若杉峠を越えて29号線へ出る。集合時刻よりもずいぶん早く到着。
準備をして待っていると、見慣れたやまあそ号が通りかかる。
「ここちがうで、もっと先。」
やまあそ車についていくと、トンネル前のチェーン装着場にわーさんが待っておられた。続いて
Mさん。ほどなくOAPさん、JMMさん、Kさんを乗せたMXF車到着。3人はMさんの車に乗せ
てもらい舂米の若桜スキー場に向かう。
やまあそさん作成の登山届けを提出し、早速リフトに乗り込む。今日は父たぬきが来なかっ
たので
「DQKさんは?」と尋ねられる。昨年の向山以来、OAPさんたちとは久しぶりの山行だ。でも、
無線でいつも話しているとついこの間出会ったような気がする。
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山頂が見えてきたよ |
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リフトを降りると、高曇りながら大展望が広がる。真っ先に目に入ったのは大きく羽を広げた
扇ノ山。冷たい風が頬を切る。今日は春バージョンでたぬき手ぬぐいで頬かぶりしているが、
これが防寒の役目を果たすこととなった。急なやせ尾根は少しアイスバーン状。注意して足
跡をたどる。Mさんはアイゼンを着け、スノボーを抱えてさっさと登っていく。
高度を上げていくと、氷ノ山の山頂小屋が見えるようになってきた。モノトーンの世界だが、
なぜか温かい感じがする。
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雪庇のやせ尾根を歩く |
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お二人さん何を話しているのかな? |
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雪庇が尾根の北側に大きく成長している。南西に見える山々を同定したりしながら、ようやく
なだらかブナ林になる。樹氷のブナに歓声を上げ、大段に至る尾根の美しさに見とれる。
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大段への尾根 |
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どこを歩いても雪の中に沈むことはないが、スキーの跡はさらに固く締まっている。やまあそ
さんはせっかく持ってきたのだからと、ここでスノーシュー着ける。
我々より先を歩いていたMさんにいつの間にか追いつく。歩いている間にアイゼンが左右別
々にはずれていたという。
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扇ノ山 青が丸 仏ノ尾 赤倉山(手前右) |
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三ノ丸までの雪原は大好きなところ、いつまでも歩いていたいところだ。青が丸、仏ノ尾を露払
いに扇ノ山。目をこらすと、西に白く光る山が・・・、「あれ、大山や!」
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遠く大山の山並みが・・・
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天気はいいとはいえないが、大山が白い帯のように連なっている。三ノ丸に近づくにしたがい
見えにくくなってしまったが・・・。
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Mさん、気をつけて〜 |
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単独女性に追いつく。智頭から来られた方で、氷ノ山は初めてながら山頂の方へ向かっていか
れた。Mさんもスノボーに座って山頂への斜面を滑っていかれた。気をつけてね〜
県境尾根を歩くならわざわざ三ノ丸まで来る必要はないが、これには訳があると、やまあそさん。
「ここが兵庫の分水嶺の最高点なんです。」
「えー、氷ノ山ちがうの?」
「これは、・・・・・という理由で・・・。」と地形図を見ながら説明してもらった。なるほど、そういう訳か。
説明はやまあそさんのHPに委ねるとして・・・。いろいろ勉強になるね。
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何本ものシュプールが・・・ |
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小休止のあと、スノーシューをつけ、いよいよ県境尾根にしゅっぱーつ!
何本ものシュプールが模様のようについている。
展望はまずますで、東の方には、至近に藤無山、その向こうに段ヶ峰、その奧に千ヶ峰から南北
に延びる山々。粟鹿峰の右には微かに五台山が確認できる。南には、一山に阿舎利山、三久安山
尖った三室等々、あげればきりがないほどの大展望。
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三ノ丸から県境尾根へのとりつきをさがす |
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県境尾根へのとりつきをやまあそさんが探している。なだらかな三ノ丸からとりつきを見つける
のは容易ではない。やまあそさんの地図読みは確実で、白い斜面を尾根の方へ歩いていく。
こちら側も大展望!真っ白な斜面を笑いながら下っていく。
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樹氷を纏う |
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青空も覗きはじめ、樹氷がキラキラ光る。陽がさすと樹氷が融けて落ちていく。それが雪面に独特
の模様を作っている。すべてが絵になる光景だ。
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いよいよ県境尾根 |
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空へ延びるブナ |
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看板を見つける |
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なだらかで広い尾根を歩いていく。大きなブナの木が空に向かって伸びている。幼木が少ない
のが少し気にかかる。樺の木に似た低木も目立ち、雪の上の影を落とし、自然が作った模様が
おもしろい。スキーとストックの跡がある。下から登ってきたらしい。
「戸倉コース 11 サンヨーテレビ」の看板をブナがくわえている。ここは山スキーのコースだと
いう。
スキーの跡をたどるようにして歩いていく。スキーの跡があるといえども、やまあそさんは地図
とコンパスで方向を確認している。こんなところでガスでも出たらたちまち迷ってしまうね。いい天
気でほんまによかった。(^o^)
朝が早かったので、早めに昼食にする。ブナの林の中で食べるのはいいね。風もなく穏やか。
歩く無線機の異名をとる(名付けたのはたぬき)MXFさんは食事をとる間も惜しんで交信。ストッ
クを改良して無線機とアンテナが取り付けられるようになっている。必要は発明の母である。(^^)
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雪に絵を描いたようなブナの影 |
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なだらかな三ノ丸(1182m)を見る @ |
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コーヒーだと思って取り出すと、粉末クリーム。「あれー」と叫んでいると、JMMさんからコーヒ
ーをいただく。<(_ _)>
お腹もいっぱいになり、再び歩き始める。すぐに尾根が二手に分かれているので、東よりの方
に進む。東の兵庫側は急な斜面、西の鳥取側はなだらかな斜面となっている。
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「ええとこやなあ」 雪原が出現 |
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同じところを歩いているような錯覚にとらわれるほど歩いた頃、突然、広い雪原に出る。
「ええとこあるなあ!こんなところがあったんやぁ。」と一同、感動の声。
「Mさんこっちへ来ればよかったのに〜。」とやまあそさん。
行く手にこんもりした丘のようなピークが見える。地形図の三ノ丸である。我々が三ノ丸と呼んでい
るところは地形図では「二ノ丸」と表記してある。鳥取と兵庫では呼び名がちがっているようだが、丸
と名が付いているように、どちらもピークとも言えないようななだらかなところである。
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これから歩く尾根 カラマツ林も見える |
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歩いていると、どこが三ノ丸かわからないまま、いつの間にか通り過ぎてしまっていた。しばらく歩く
と視界が開け、これから歩く稜線が一望できる。スキーは西の鳥取県側へ下りている。林道からやっ
て来たのだろうとやまあそさん。
代わりに足下にはかわいい足跡が続いている。たぬきかな?
尾根は右にカーブしている。葉を落とした唐松の林も見える。藤無山が丸く大きい。ずいぶん歩いた
ねえ。
このあたりから尾根は細くなる。兵庫県側には谷を挟んだ山腹を坂谷林道が走っている。1073m
ピークで振り返ると、平坦な三ノ丸が木の間から見える。ここでも歓声!双眼鏡で見ると、スキーヤー
が確認できるという。私には避難小屋の赤い屋根しか見えないが・・。(^^;)
ここから見ても、県境尾根へのとりつきはだだっ広く難しそうだ。やまあそさんは「遭難するかもしれ
へんで。」私「そうなん?」と言っていたが、ここまで迷うことなく歩くことができた。やまあそナビは正
確である。
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三ノ丸と歩いた尾根を振り返る |
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1073ピークから尾根は西に向く。少し歩くと、林がとぎれ、北に大きな三ノ丸がでーんと現れる。
「あそこをあるいてきたんやねぇ。」
西には東山がさらに大きく見え、林道が山腹を巻いている。
北西には黒い雲がこちらを窺っている。雪がふってくるかもね。
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「ここから林道へおりますよ」地図で確認中 |
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戸倉峠 |
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再び尾根は南を向き、この頃から急な下りになってくる。枝につかまりながら下った鞍部から林道
に出るという。もう一つピークを越えれば峠だが、峠への下りは崖なのでこちらの方が歩きやすいら
しい。
林道に出ると、スキーの跡が林道奧に延びている。
林道も積雪が多い。雪がちらちらし始めた。いいタイミングで下りてきたね。道のそばににタムシバ
が倒れながらも花芽を付けている。もうすぐ春だからね。
峠の直前まで来ると、林道が崩落している。昨秋の台風で崩れたのだろう。滑らないように慎重に
歩くと、そこは峠の鳥取県側。
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旧戸倉トンネル |
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国道29号線 新戸倉トンネル A |
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峠を兵庫県側に歩く。古いロードミラーの鏡部分だけが雪の上に顔を出している。つづら折れに
下りていくと旧の戸倉トンネルに着く。平成7年まではこのトンネルと使っていたそうだが、私もバ
スや車で何度か通っているはず。そういえば、狭い道だったなあ、と思い出すも記憶が定かでは
ない。
古いトンネルから旧国道を歩いていくと次第に車の音が大きくなり、新しいトンネルの上に出る。
雪が崖のようになったところを慎重に下り、無事車に戻る。やまあそナビのおかげですばらしい雪
の尾根を歩くことができた。
MXFさんたちを乗せて舂米に向かうやまあそさんたちと別れ、私は帰路につく。3連休の真ん中
の日で、9号線は大渋滞。往きよりも30分余分にかかったが、余韻に浸りながらの運転はさほど
気にならなかった。
やまあそさん、みなさんありがとうございました。
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注 @OAPさんから AMXFさんからの写真です。<(_ _)>
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