町石仏を辿る 三岳山
京都府福知山市

 福知山・綾部市界の高嶽へ登るつもりで地図を用意していると、但馬へ行く予定だったやまあそ
さんが、天気が悪そうなのでこちらへ合流すると連絡が来る。

 3人で福知山から綾部市高津町へ向かう。車を林道の空き地に置き、さあ登ろうと歩いていると
集落の男性が松茸山なので入山できないが、責任者に訊ねてきては。」とことばをかけてくださる。
教えていただいたお家を訪ね、高嶽へ登りたいと告げたが、やはりこの時期は入ってもらっては困
るとのこと。その方も山歩きをされるので気持ちがわかるが・・、と申し訳なさそうな表情。

 松茸山と知っていたら来なかったのだが・・・。歩き始めた頃の気持ちは萎え、出鼻をくじかれて
意気消沈。とぼとぼと車へ戻る。では、近くの山でどこかいこか、ということになり、まだ登っていな
い三岳山へ行くことにする。
 やまあそさんが「地形図があるかも。」と車の中を捜しているが、家に置いてきたとのこと。道路地
図でだいたいの登山道を確認し、三岳山の麓の喜多へ向けて車を走らせる。

 175号線下天津から西に入り、車は徐々に高度を上げていく。標高も300mを超えたが、ここも
福知山市。

 三岳山は、そのどっしりした山容から丹波の山々からも同定しやすい。また福知山市内を車で走
っていると西北にその姿を望むことができる。
 御嶽山とも書かれ、遅くとも鎌倉末期までには山岳霊場として開かれていたという。南北朝初期
には頂上近くに蔵王権現(現在の三岳神社)が祀られ、頂上には奥の院、麓の喜多には金光寺が
ある。 かつては女人禁制の修験の山であったようだ。(「京都丹波の山」参照)

 
登山口からは階段を登ります

 車を三岳山の家の駐車場に進める。ここが登山口。山行きの準備はできているので、すぐに出
発する
 登り始めるといきなり階段。3人とも階段をはずして歩く。階段を登ったところに上水道のタンクが
ある。ここからは植林の中のよく歩かれた道。
 
町石仏に見送られ 雑木の道
 三丁と彫られた町石仏が迎えてくれる。このあと町石仏が続く。それを一つずつ見ながら歩いて
行く。なだらかになった頃、534m付近で野際への道が西へ分かれている。
 十丁を過ぎると、植林から自然林にかわり、気持ちのいい道となる。
寛永通宝  穏やかなお顔

 やまあそさんが地面に何かを見つける。なんと寛永通宝。もしかしたら小判が落ちているかも。
昔の人が落としたものだろうか・・・。それともお地蔵様に御供えされたものだろうか・・。やまあそ
さんは持って帰って家宝にするそうだ。そのうちプレミアがつくかもね。(^^)
 町石仏には施主が彫ってあるものと、何もないものがある。麓の喜多、行績などの村の名前が
見える。
三岳神社に着く 神社から山頂へ向かう
 しばらく歩くと雑木の自然林は再び桧の植林になる。一七丁まで来ると標識があり、その少し上に
石の鳥居が見える。その奧にはオレンジ色の屋根。神社があるらしいとやまあそさんが言っていたが
これほど大きなものとは驚きである。体の割に頭の大きな狛犬が一段下がったところで神社を守って
いる。屋根の色は塗り直されてからまだ日が浅いのか、鮮やかなオレンジ色。

 登山道はその右裏からさらに続いている。山頂まで少し急なつづらおれの道を登る。父たぬきはさっ
さと登っていく。
三岳山頂 山頂の五輪塔
 途中で一組のご夫婦に出会う。駐車場に軽トラックが置いてあったので、もしかしてもっさんでは、と
思っていたのだが、ちがう人だった。男性は首にタイガースのタオルを掛けている。「優勝しましたね。」
と声をかけると照れ笑いをして下って行かれた。父たぬきにそのことを言うと、「もっさんですか?」と訊
ねたそうだ。

 神社から20分で山頂に着く。山頂には五輪塔と三等三角点、それにNTTの反射板が北を向いてい
る。ガイドブックでは、山頂は確か木々に囲まれている写真だったと思うが、その後切り開かれたのか
眺望がよくなっている。西に夜久野の山々と床尾山系。遠望はきかないがなかなかいい眺めだ。北の
方は高竜寺山から法択山。登尾峠の話しをやまあそさんに聞きながら山々を眺める。
西の展望
 丸太のベンチでお昼ご飯を食べていると、風が涼しい。二人は寒いと言いながらウインドブレーカ
ーを出している。
 父たぬきは無線をしている間に、山頂から北への縦走路を探ってみる。やまあそさんはここをMT
Bで縦走したいらしい。伐採されたところはタケニグサが茂り歩きにくいが、植林の中はよさそうな
尾根。
「これは行けそう。」
やまあそさんは、早速、次の構想が浮かんだようである。
 
北への縦走路を探ってみる ミカエリソウ

 山頂に戻り、後かたづけをして下山にかかる。来た道を三岳神社まで歩く。三岳神社のすぐ上
にミカエリソウがふわっと咲いている。まるで神社を守るように・・・。
行者神社参道 大岩
 神社まで下り、行者神社参道という看板に惹かれて、指し示す方へ行ってみる。参道というには
あまりにも悪路。斜面の細い踏み跡をたどる。ところどころ不明瞭なところもあり、足下に注意が必
要である。岩の間に小さな祠があったが、「これは神社ではない。」というので、さらに進む。ほとん
ど高低差のない平行道、トラロープが張ってある。大きな岩もあり、修験の道、という雰囲気が感じ
られるが、いっこうに行者神社はあらわれない。
「このまま行ったらあちらの尾根の方へ行ってしまう。」というので、あきらめて引き返すことに。あと
でわかったことだが、三岳神社から15分ほどのところにあったようだ。ちょっと辛抱が足らなかった
かな?
「看板にどれくらいかかるか、書いてあったらいいのにね。」などといいながら三岳神社に戻る。境
内にはイチョウの巨木があり、銀杏が特有のにおいを放っている。
同じ道を下る 石仏にあいさつしながら・・・

 喜多へ同じ道を下りていく。帰りは往きよりもずいぶん速い。いや、速く感じるのかもしれない。
登山口近くの金光寺 金平糖のようなミゾソバ

 登山口にもどり、帰る準備をしていると車が一台登ってきて、単独男性が山登りの準備を
始められた。大江山の鍋塚林道の駐車場から千丈ヶ嶽をピストンし、もう一座ということで三
岳山へ来られたという。山歩きの装備もしっかりとされ、よく歩いておられるように見受ける。
名刺を渡し、HPをPR。(^^)

 ミゾソバが車のそばで揺れている。三岳の山里は秋たけなわ。松茸山で入山できなかっ
たこともその頃には忘れていた。


行った日 10月1日(土)
行った人 やまあそさん、たぬき二人
山行タイム 登山口駐車場10:45〜三岳神社11:30〜頂上11:50−13:15
〜三岳神社13:30〜行者神社参道〜三岳神社13:55〜駐車場14:35
2.5万図 三岳山 大江山   山行地図


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