梅雨の晴れ間に 但馬妙見山
兵庫 但馬


 このところ雨の日が多く、先週も土日は山へ行けなかった。日曜日雨の予報だが、近畿でも北部は
雨が降らないようだ。webで何度も雨雲の予想を確かめ、但馬へ向かう。雨なら蘇武妙見林道を車で
走り、降りそうでなければ妙見山へ登る予定だ。 
石原磨崖仏

 八鹿の町から妙見山へ向かう。名草神社への道は、昨年の台風で路肩が崩れかけ、工事中のとこ
ろもある。林道沿いに「妙見不動案内図」という看板が立っている。大きな岩に不動明王が彫られてい
る。1545年に造られたものとある。摩耗はしているが、私の目でもお不動さんと確認できるほどだ。妙
見山麓には他に2箇所あるそうなので、別に機会に訪ねてみたいものだ。
名草神社三重塔 名草神社拝殿

 車を名草神社の駐車場に停め、まずは名草神社へお参りする。参道には杉の大木が立ち、我々
を圧倒する。杉の木立のむこうに朱の三重塔。そのそばには「大杉」の巨大な株が屋根の下に大事
に保存されている。樹齢1500年、平成3年の台風19号で倒れたとある。残っている根元の太さを
見ても如何に大きな杉であったか推測できる。

 苔むした石段を登り、こけら葺の拝殿をくぐり、本殿の前に出ると、身の引き締まる思いがする。拝
殿の彫り物は一見の価値有りとか・・・。

 社務所の戸が開いていて、車が停めてある。宮司さんは麓から通勤されているとか。少し下りた
ところにザゼンソウが大きな葉を出している。
丁石仏が峠まで案内 道沿いにはヤマアジサイ

 妙見山へは名草神社から妙見峠を経由して登っていく。一丁と彫られた石仏が峠への道を案内
してくれる。丁石仏を辿りながら峠へと歩く。雨は降らず、急勾配の道ではないが湿度が高い
ので、たちまち汗が流れ出る。
 道沿いのヤマアジサイが蒸し暑さをしばし忘れさせてくれる。
妙見峠 妙見峠から妙見山への尾根を歩く

 神社から30分、2体の石仏が待つ妙見峠に立つ。作山側への道はきれいに刈り払われている。
この道を下ると作山を経て猿尾滝の方に続いている。作山側から神社への参詣道として、昔はた
くさんの人々がこの道を歩いたことだろう。そして、我々のようにこのお地蔵様の前で一服したに
ちがいない。

 我々もお茶で喉を潤し、妙見山頂をめざす。案内板には、山頂まで1.6kmとある。平坦な道を
少し歩くと、西側の林道と出会う。林道を歩かず、尾根を歩く。東はたくさんの実を付けたブナの木
西側は植林、と尾根を挟んで植生がちがう。植林される前はブナのすばらしい森だったんだろうね。
 しばらく歩くと、小さなピークに出る。ブナの幹に「大谷の頭」と看板が打ち付けてある。大谷の頭
からいったん下り、町界尾根を妙見山へ歩く。
妙見山頂 ヒヨドリバナ

 峠から35分、妙見山頂に着く。山頂には様々な看板と金属製の方位盤。アキアカネが群れ飛ん
でいる。山頂部には木はないが、まわりには木に囲まれ、展望はない。ヒヨドリバナがもうすぐ咲き
そう。

 無線機のスイッチを入れると、聞き慣れたコールサイン。三木のMXFさんがTQFさん、OAPさんを
呼んでいる。応答し、しばらく更新する。残念ながら、段ヶ峰近くの林道を走行中のOAPさんの電波
は入ってこない。林道のあちこちが工事中だとMXFさんからの伝言。

 西側からガスがわき上がってくる。雲が薄くなり、青空も見えてきた。蝉がうるさいほどないている。
ホトトギス、カッコウの声も・・・。
アキアカネ
 
写真の中央付近に注目 大きなブナ

 おにぎりで軽い昼食を終え、大ナルの方へ下山する。杉の植林を抜けると、大きなブナ。クマザ
サが道の両側に茂り、その中にブナの幼木が植えられていて、「ブナを植える会」というプレートが
かかっている。何年かに渡って植えられたようで、ブナは元気に育っている。
 父たぬきが何かに驚いて飛び上がる。と、大きなヒキガエルが跳びだしてきた。驚いたのは向こ
うも同じこと。つがいでなかよく昼寝をしているところを、突然、闖入者にじゃまをされ寝ぼけ眼でこ
ちらを見ている。
ブナの向こうは夏の空 名草神社の屋根が見えます

 ブナの木を見上げると、高い雲と青空。「夏の空やねえ。」
この空を見るとなぜか心弾む。子どもの頃から夏休みに入る前がいちばんうれしい時期だった。梅
雨明けも間近かな?
 木立の間から、谷を隔てて大杉の中に名草神社の屋根が見える。大杉は群を抜く高さだ。樹齢
300年と書いたあったっけ。
 
杉の巨木の林を下る キブシの実

 ブナ、杉の林を歩き、なだらかな大ナルへ出る。しばらく歩くと林道終点。キャンプ場の管理棟前
には展望図があるが、ほとんど展望はない。
 
キツリフネ

 林道を歩き、舗装路に出る。朝、車で走ったところだが、歩くと様々なものが目に付く。キツリフネの小
さな群落。房になったキブシの実。谷から音を立てて流れる水。
 出発から3時間ほどで車に戻る。
金山峠のお地蔵様 金山峠からしばらく行くと、林道は通行止め

 妙見林道を金山峠へ向けて走る。通行止めの看板。「悪路走行不能」とある。今日はそういうことも
あるだろうと、私の4WDに乗ってきた。路面はところどころ掘れていて、ゆっくりと走る。幾度か「悪路」
はあるものの、何とか走行できた。しかし、金山近くになり、深さが7,80cmほど掘れているところが
あり、その深みにはまらないよう慎重に運転して何とか切り抜ける。

 金山峠は阿瀬渓谷からの登山道と合流するところで、懐かしい石仏に出会うことができた。耀山へ
下りる道との分岐を過ぎると、長い棹を持った男性が枝を叩いている。車を停めて尋ねると、虫を追い
出して写真を撮られるとか・・。大きなカメラを携え、虫を捜しておられる。
「いろいろな趣味があるもんやね。」
「向こうのそう思っておられると思うよ。」

 しばらく走ると、綱が張られ完全に通行止め。軽トラが停めてあり、その向こうは道路のほとんどが崩
れている。万事休す。ここで引き返すことに。その前に、無線でOAPさんを呼んでみるとうまく繋がる。
情報を交換し、耀山へ下りていく。
黒牛がこちらを向いている 女郎滝

 高原状の草原には黒牛が草をはんでいる。道が谷に下りると、一条の滝が道沿いにある。「女郎滝」
とある。そばには前掛けをした不動尊。落差20mほどだが、形のいい滝である。

 9号線に出ると、瀞川山の帰りに走ったばかりのところだった。八鹿の天女の湯で汗を流し、帰路に
着く。

行った日 05 7/10(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 名草神社駐車場9:45〜名草神社10:00〜妙見峠10:30ー10:35〜
大谷の頭10:45〜妙見山11:10ー11:40〜大ナル12:20〜駐車場
12:55
2.5万図 関宮 栃本   山行地図


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