鏡峠から栗柄峠はこれまで2度歩いているが、2度とも栗柄峠直前でミスコース。それに山域に
咲くヒカゲツツジも一度見てみたかった。
今回は兵庫の分水界を歩いているやまあそさんに同行。私の車を栗柄峠の観音堂に置き、鏡
峠への登山口である中山の林道に向かう。タムシバはすでに散り、田では田植え準備も始まっ
ている。
堰堤の近くから歩き始める。先日歩いたとき満開だったクロモジは盛りを過ぎている。鏡峠への
道は歩きやすい。鏡峠直下の不動明王をやまあそさんが調べると安政年間のものだそうだ。照
仲寺という字が何とか判読できる。帰って調べると、下三井庄のお寺だそうだ。檀家の人たちが
建立したものだろうか。
私は、先日三尾山まで歩いたときになくしたサングラスがその辺に落ちていないか、探したが見
つからず・・・。これであきらめもついた。(-_-;)
鏡峠からいよいよ分水界。相変わらず歩きやすい道がしばらく続く。佐仲ダムへ下る尾根近くに
くる。芽吹きの谷がいい雰囲気だ。山桜も今が盛り。タムシバが少しだけ残っている。
|
|
|
|
|
鏡峠からしばらくは広い道 |
|
岩場に咲くヒカゲツツジ |
|
松森への破線の道を過ぎ、鋸山の西のピーク直下まで来る。見上げると岩に満開のヒカゲツツジ。
岩、日陰、と植物にとってはあまりいい環境とは言えないのに、生き生きとした姿で、たくさんの花を
咲かせている。
「こんなところにこんなにたくさん!」
花は今がちょうど見頃。
これまでと違って急な登りを登りきると、鋸の最初のピーク。三尾山が西にいい姿を見せている。こ
こからが鋸の歯のギザギザが始まり。
|
|
|
|
|
|
展望岩から黒頭峰と三尾山 |
|
|
鋸山の西に尾根から北へ突き出た支尾根がある。岩にピンクのミツバツツジが張りついている
のが見える。ちょっと見た感じでは行けそうにないが、確か尾根から踏み跡があったなぁ。支尾
根への分岐まで行くと、やはり踏み跡があるので、ちょっと寄り道してみる。しかし、高い岩に阻
まれそれ以上進めそうにない。
「行けそうにないわ。」
「下に巻き道があるやん。」
さすが、やまあそさん、西側に微かな踏み跡を見つける。岩の下をめぐるように踏み跡をたどると
岩の上に出ることができた。なぜかスーパーの買い物袋がある。松茸とりに来た人が忘れていっ
たのかな?
|
|
|
|
|
|
岩に張りつくヒカゲツツジ |
|
|
ここからの展望は「すばらしい」のひと言につきる。北正面には妙高山を中心に山々が連なり、そ
の向こうに鹿倉山が顔を出す。東には三尾山、黒頭峰、夏栗山がのんびりとたたずむ。譲葉山、向
山連山も近い。目を近くに転ずると、岩にヒカゲツツジとコバノミツバツツジが張りつき、薄卵色とピ
ンク、芽吹きの黄緑とグラデーションが美しい。足場が少し悪いので私の少し上にいるやまあそさん
は方向転換もままならない様子。
踏み跡は北の松森方面へ続いている。どこへ下りているのか、いつか歩いてみたいものだ。
|
|
|
|
|
|
鋸山から東を望む(右奧は三嶽) |
|
|
また市界尾根にもどり、東に歩くと、すぐに鋸山山頂に着く。三角点は満開のヒカゲツツジに囲
まれ恥ずかしそう。お腹が空いたので、少し早いがここでお昼にする。
北斜面にはヒカゲツツジが今を盛りに咲いている。岩にはヒカゲツツジがよく似合う。
東にはこれから歩く尾根が長く延び、その向こうには西ヶ嶽、三嶽が並んでいる。
「遠いねえ。」
食べ終わった頃、ご夫婦連れが佐仲ダムから来られる。毎年、鋸山へヒカゲツツジを見に来て
おられるという。去年は終わりかけていたが、今年はいいときに来たと喜んでおられた。向山をち
ょっとPRしてお別れする。
|
|
|
|
|
真剣な表情で・・・ |
|
鋸山を振り返る |
|
|
いったん下り、岩まじりの斜面をよじ登る。こちらにもヒカゲツツジ。尾根の群生は向山ほどで
はないが、我々の目を楽しませるには十分な量だ。
眼下には田植えを控えた田の上をゆったりと2機のパラグライダーが飛んでいる。どこから飛
んできたのかな?
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
のんびりと紅白のパラグライダー |
|
|
|
小さなピークを何度もアップダウンしていると、どこを歩いているのかわからなくなる。以前歩いた
とき、貴公子さんが、ピークがいくつで標高差をトータルすると何メートルって、言われていたっけ。
ピークをいくつ越えたのかわからないうちに、563ピークもいつの間にか過ぎている。
563pからピーク2つ越えると破線の東鏡峠。前に来たときには篠山側にテープがあったように記
憶するが、何も見つからない。
ところが次の鞍部で「東鏡峠」と書かれたプレートが木にぶら下がっている。古いもののようだが、
過去2回とも見つけることができなかった。近くの岩の上には割れた湯呑みが・・・。いったいこれは
何を意味するの?
しかし、地形図を見てもここが峠とは考えられない。地図が間違っているのか、我々が現在地を誤
っているのか・・・。周りの地形を見ても、やはり我々の地図読みに誤りはない。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
堂の峰の西の鞍部に立つ |
|
堂の峰で野点はどう? |
|
|
ピークを3つ越えて下るとまた広い鞍部に出る。登り返してしばらく歩くと堂の峰。ヒカゲツツジは
堂の峰の途中まで咲いている。群落ではないが長く見ることができた。
堂の峰は東西に長い尾根だ。南の麓にある福徳貴寺と関係があると慶佐次さんは書いておられ
るが・・・。
ここで昨夏の西光寺山以来、2度目の野点をするという。南に岩谷山を眺めながら、お抹茶を味わ
う。「けっこうなお手前でした。」(^^) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
堂の峰から下った鞍部で |
|
|
|
堂の峰から急斜面を下ると、私のお気に入りの広い鞍部。木々が芽吹きいい雰囲気だ。御在所
山が間近に迫る。やまあそさんによると、御在所山は分水界だという。登っても展望はあまりない
のでパスして、栗柄峠をめざす。小さな枝が道をふさいでいるが、いい道だ。やまあそさんは、しき
りにMTBに最適の道やぁ。だれか整備して〜。」と叫んでいる。
Ca350ピークを巻くように道が南に続いている。1回目に来たときに歩き、そのまま栗柄集落へ
下りた道だ。ぐるーっと回って再び分水界尾根にもどる。コバノミツバツツジの咲く道をしばらく歩く
と2度目に間違ったピークに出る。ここで尾根は北東と北西の二手に分かれている。前回は、切り
開きがしてある北西尾根に進んだため、栗柄峠の途中に下りてしまった。今回は間違うわけには
いかない。迷わず北東へ歩く。
このあたりには穴があちこちに開いている。鉱山の採掘跡なのだろうか。ほとんど埋まってしま
っているが、1カ所、井戸のような穴があった。
「なぜかこういう穴をよく見つけるんや。」
やまあそさんは穴見つけの名人でもあるらしい。(^^) できれば穴の中に入ってほしかったが・・・。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
シノダケが現れると峠も近い |
|
栗柄から三嶽方面を望む |
|
最後のピークはシノダケが生い茂り、他のとは雰囲気が異なる。やまあそさんは、家でもあったの
だろうか、としきりにつぶやいている。(砦跡であったらしい)
歩き始めてから5時間あまり、ようやく栗柄峠の車道に飛び出る。この付近は約2万年前の河川争
奪で形成された谷中分水界で、分水界博士のやまあそさんにはとりわけ興味深いところのようだ。
栗柄峠から中山に向かう。つい先ほどまで歩いていた尾根が真上にある。西には三尾山が逆光の
なかに浮かんでいる。
ヒカゲツツジは向山のような群生ではないが、鋸山連山一帯で見ることができ、みどころの多い山
域である。ヒカゲツツジに出会え、また3度目にしてようやく栗柄峠までたどりつくことができ、ひとつ
課題が解決した気分である。(^^)
|
|
|
|