戸倉峠から県境尾根を 赤谷の頭
兵庫 宍粟市

山頂から尾根を歩く




 毎年この時期は氷ノ山の三ノ丸周辺を歩いている。今年は戸倉峠から県境尾根を南へ歩き、
赤谷の頭(1216.4m)へ行くとやまあそさんからのお誘い。昨年は三ノ丸から戸倉峠へ歩い
たが、そのつづきを歩くことになる。

 9号線から大屋へ入り、若杉峠から29号線へ。集合場所の戸倉スキー場へは一番乗りのよ
うだ。閉店中のドライブインの駐車場で待つ。積雪は多いがこのところ気温が高いので、ずいぶ
ん融けているようだ。やまあそさん到着。しばらくしてMXFさん車到着で、やまあそ車を近くの
待避所に置いて、戸倉トンネル手前のチェーン脱着所へ向かう。ここでkokoさんご夫妻と合流。
 今日のメンバーは、OAPさん・JMMさんご夫妻、kokoさんご夫妻、EGJさん、MXFさん、や
まあそさん、そして我々の9名である。
 
国道29号線 戸倉トンネル付近を出発 旧戸倉トンネル

 あいさつもそこそこに早速出発。昨年、旧戸倉峠への道は通行止めだったが、重機が置いてあ
り除雪もしてあって車が入れるようになっている。
土の上もスノーシューで 戸倉峠

 除雪は旧戸倉トンネルまで。このトンネルの中は通行できそう、とやまあそさんは自転車で
走りたそうだ。去年も同じことを言ってたっけ。
 ところどころ雪のない峠道もスノーシューをはいたまま歩いていく。OAPさんはできるだけ雪
のあるところを選んで歩いておられる。あまり端によると雪が崩れるおそれがあるので、私は
安全歩行。(^^;
 トンネルからさらに歩くと戸倉峠。峠の手前から尾根にとりつく。

 koko夫さんが先頭でトレースをつけてくださる。急登なので滑りやすい。その後について登
っていくが、ちょっと方向を変えようとしたとき、後ろへ転倒。あやうく転げ落ちるところだった。
2日前に職場で後ろへこけたばかりなので要注意である。なにしろスノーシューハイクは、今
季初めてなので、スノーシュー歩きに慣れるまではちょっと歩きにくい。
ブナの実 木の精?

 気温が高く、峠までに早々と汗が滲んでいたが、県境尾根に着く頃にはさらに汗が出てい
る。
 県境尾根に出ると傾斜もゆるみ、歩きやすくなる。西からの風が強く、雪庇が東側にできて
いる。尾根の西側は雪のないところもあり、あまり東寄りを歩くと危険だ。
 尾根には大きなブナが目立ちはじめる。
 雪の上にはたくさんのブナの実が落ちている。見上げると枝にはまだ落ちずに残っている
実。

 Ca1010mピークに来ると根元からたくさんの幹を出したかつらがある。JMMさんが
「ここは覚えているわ。」と言われる。無雪期に笹藪をこいで赤谷の頭へ歩かれた時の記憶
だ。ここは北東に細長くのびたピークなので間違って北東方面へ歩く人があるそうだ。
 すぐ近くに根元が二股の木があるのでそこで撮影。ダンディなEGJさんも
「私も1枚。」とポーズをとられる。(^^)

 
熊の手 大きなミズナラやね
 かつらピークから少し急な登りをゆっく歩いていく。高度を上げるとなだらかな氷ノ山が全貌を
現す。
「去年はあの尾根を歩いたね。」
昨年歩いたコースを眺めながら、三ノ丸の雪原と樹氷を思い出す。大段の向こうに見える山並
みは妙見山あたりだろうか。

 太いブナの幹に熊の引っ掻いた跡が残っている。ずいぶん前のものなので、あたかも手形を
押したように見える。熊も冬眠からさめただろうか。

 ミズナラの大木の前で、
「この木は?」とMXFさん、「ミズナラ。」とやまあそさん。
「大きな木やねえ。」

 眼下に朝通ってきた道谷が見える。展望とブナに酔いながらいつのまにかP1143に到着。
ブナのピーク

 ブナの平らなピークに、何となく安らぎを感じる。いいなあ。もう少しここにいたいね。お腹の虫が
なきはじめたが、山頂まで我慢せよと隊長のことば。木々の間からぽっこりした藤無山が望める。
どこから見ても同定しやすい山だ。
ブナの尾根
 
 後ろから写真を撮ろうと思うと、どうしても最後尾近くになる。ブナの尾根を歩く人々は絵になるな
あ。
「ヒャッホー!」
あまりにもすばらしい景色に知らず知らず歓声を上げている。
斜面にブナの影

 斜面にはブナの影が模様を作っている。ブナの根元には春の印の根回り穴。ブナたちも春の訪れを
喜んでいるように見える。
 1143ピークからこぶを一つ越え、次のCa1190は昨年歩いた二の丸のようなピークで、細い雑木
がまばらに生えている。ここもいいねえ。
西に 三室山、天児屋山、くらます

 少し下り、山頂が目の前に迫ってくる。西に東山。そして、先日やまあそさんが登ったくらますが真
っ白、その南は天児屋山、そして一番高いのは三室山。すばらしい展望に声も出ない。条件がよけ
れば大山も見えるはず。
赤谷の頭 山頂
 しばらく展望を楽しみ山頂へ向かう。
 山頂(1216.4m)は、大きなブナが伐採され、360度の展望。三角点は雪の中。
 赤谷の頭は、鳥取側では落折山と呼ばれているそうだ。落折は鳥取の集落。平家縁の村であ
る。
山頂から氷ノ山(右にうっすら妙見・蘇武の山並み)

 北には氷ノ山が春の陽に白く輝いている。こうして見るとほんとうに大きい。三ノ丸から戸倉峠
への稜線や唐松のピークも確認できる。大展望!だいてんぼう!
 風が強いので山頂から一段下がったところで昼食にする。こんないい景色を眺めながらの昼食
はなんと贅沢なことか。
 山頂に着いてからちょうど一時間、名残惜しいが山頂をあとにする。
山頂を振り返る
 尾根から山頂を振り返ると、雪庇が風下にできている。
県境尾根からスキー場への尾根へ
 山頂から10分も歩くと、戸倉スキー場への支尾根の取り付き。
「もう少し尾根を歩きたいねえ。」
「下りるのがもったいない。」
という声も・・・。
 県境尾根は三室山へ続いているので、いつか歩きたいとやまあそさんとOAPさん。無雪期には
藪こぎ必至だろう。

 支尾根も若いブナがあったりしていい雰囲気。やまあそさんはシリセード用にシートを敷いて滑り、
JMMさんはいつものそりで、早速そり滑り。しかし、あまり滑らない雪質のようだ。
うろの空いたブナ 宿り木と氷ノ山

 地籍調査が行われたようで、杭が打ちこんであり、下草や笹を刈った跡がある。尾根の途中に
中が穴のあいたブナがあり、交互に撮影をしている。こういう遊び心をもたないとね。(^^)
Ca950は木が伐られ、宿り木の向こうに白い三ノ丸が望める。
スノーシューを脱いで
 高度が下がってくると土も見え始め、スノーシューをはずす。手で持って歩きにくいのでザックに付
けていると、先頭からずいぶん遅れる。
 しばらくツボ足で歩けたが、また積雪となり、スノーシューを付ける。急いでCa960のこぶを登ると
我々を待つみなさん。
「たぬきさん、地図見せて。」
あら、私でなく、地図を待ってたのね。やまあそさんに地図を渡そうと急いで木を跨ぐと、足が絡んで
またもや転倒。EGJさんがすかさず手助けてくださる。

 方向を見定め、二股に分かれた尾根を東へ下りる。暖かな陽ざしを浴びながらスノーハイクもいよ
いよ終わりに近づいてきた。

 スキー場の最上部の建物マークのピークへの登りは雪がないのでスノーシューを脱ぐ。
「スキー場を下りるときはスノーシューの方がいいので、ここで履きましょ。」
OAPさんの指示で、再再度スノーシューを付ける。

 
スキー場を下る


 スキー場最上部のピーク(Ca880)からは北東に下り、リフト降り場に出る。そりやスキーを持った家族
連れが次々とリフトから降りて滑っていく。
 スキー場の西の縁をじゃまにならないように下っていると、スキー場の係員の方に呼び止められる。赤谷
の頭へ登ってきた旨を話すと、その方も昨年登ってきたとのこと。夏道ができたのかとたずねると、地籍調
査で切り開いたのだと言われていた。スキー場をとりまくこの辺り一帯は某財閥の持ち山だと言われてい
た。
 話をしていると先行のみなさんからずいぶん離れてしまった。ここからは斜面をトラバースし、急なゲレン
デを下りていく。藪山の激下りは平気だが、木も何もない斜面を下るのはちょっと怖い。下を見ると、先を行
くメンバーが見える。スキーヤーにとってはじゃまな山歩き隊だったかもしれないが、スリルがあって楽しか
った。JMMさんのソリはこういう時のために持っておられるのかも・・・。

 やまあそさんの車で車を回収に行く間、スノーシューを軒からの雪解け水で洗う。顔が火照って熱い。今
日の山歩きの興奮のためか。

 29号線を姫路方面へ帰られるみなさんと別れ、たぬき車は道谷へ向かう。若杉峠から振り返ると逆光
に赤谷の頭が浮かび上がっていた。

 

 


行った日 06 3/11(土)
行った人 EGJさん、JMM・OAPさんご夫妻、kokoさんご夫妻、MXFさん
やまあそさん、たぬき二人 
山行タイム 戸倉トンネル9:30〜戸倉峠10:20〜カツラのピーク10:50〜
赤谷の頭12:00−13:00〜尾根分岐13:10〜戸倉スキー場
15:10
2.5万図 戸倉峠   山行地図


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