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数年前のGWに上千町から大乢経由で段ヶ峰へ歩いたことがあった。その時に歩いた稜線
には大きな岩があり、それが岩塊流なのだと聞いたのはずいぶん後のことである。
最近、やまあそさんやOAPさんから岩塊流の存在を教えてもらい、鯨岩と命名された岩もあ
るというので、それを見に行ってみることにする。
朝来から神子畑を通り笠杉トンネルを抜けると宍粟市に入る。このルートは最近よく走るの
だが、静かな山里のたたずまいで好きなコースである。しかし、今日はちょっと雰囲気が違っ
ている。のじぎく国体の幟がはためき、「歓迎 沖縄県選手団」と書いた横断幕がはられてい
る。宍粟市は銃剣道の会場になっているらしく。集落に1県ずつの担当となり民泊をされてい
るようだ。草木の集落に入ると、「福井県」という文字が目に入ってきた。あたたかい歓迎ぶり
に丹波市はどうやったかな?と話しているうちに宍粟森林王国に到着する。
OAPさんご夫妻、TQFさんも一緒に行ってくださることになり心強い同行者をえて、あいつい
でやって来られた。
牧場跡だったところには立派な建物が建ち、遊歩道も造られている。我々の前を工事の車
がさらに奧に上っていったので、林道工事でもしているのだろうか。
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宍粟森林王国の施設から登ります |
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OAPさんご夫妻、そしてTQFさん到着で全員揃ったところで出発。遊歩道から階段のある
道を歩いていく。整備された道はとても歩きやすく、急な尾根を巻いた山腹の道などを登って
いく。
OAPさんは一眼レフのデジカメを買われたばかりで、今日はそのお披露目。
「まだ使い方がようわからん。」と言いながらもうれしそうにシャッターを押しておられる。
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雑木の林はいい感じ |
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父たぬきは快調に登っていく。
「DQKさん、速いなあ。」とOAPさん。
涼しいが歩いているとさすがに汗が滲んでくる。気持ちのよい雑木の尾根を登りきるとP970で
ある。その南に伸びる尾根もよさげ。自然林は心身ともに癒されるなあ。足下にブナの実。でも
これは去年のもので今年は不作。これでは森の動物たちも里に下りざるを得ない。栗の実が落
ちているが、これは熊さんに置いておいてやろう。
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笠杉山を望む |
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970mから北へ歩く。この辺りは左の西斜面は植林、右側は低い灌木。植林の間から笠杉
山が姿を現した。目を西へ転じると、藤無山から三久安山、阿舎利、一山が確認できる。
1時間ほどで林道に出る。この林道は上千町から千町峠へ通じる林道から分岐したもので
ある。間伐をしているのかチェーンソーの音が響いている。林道はすぐ終点になり、その先に
は大きな岩がゴロゴロしている。
これが岩塊流である。OAPさんによると、岩塊流が見つかり工事をストップし、岩塊流を保
護するために橋をつけるとか・・・。
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岩塊流に息づく命 |
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林の中には苔むした大岩がゴロゴロしている。その上に木が成長し、原始の世界に足を踏み入
れた感さえする。
「これはすごい!」
やまあそさんから、「鯨岩は岩塊流に沿って登ればよい。」と聞いていたので、赤テープの示す道
を登っていく。手作りの「杉山 鯨岩」の看板もあるので、それに従えばよい。岩塊流の下では水
の流れる音が・・・。何万年も前から同じ営みを続けてきたのだろうか。
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鯨岩 「ここが口かな」 |
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杉山への登山道からはずれたところに鯨岩はあった。苔を体いっぱいに纏った大きな鯨。口を
少し開けている。JMMさんとOAPさんは一度、鯨岩を捜しに来られたが、
「鯨岩への分岐を通り過ぎ、そのまま登ってしまった。こんなところにあったとは。」とOAPさん。
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稜線直下の岩塊流の庭園 |
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念願の鯨岩と対面し、稜線をめざして登っていく。少し不明瞭ではあるが登山道が残っている。
しかし、このまま登っていくと尾根の下の方に行ってしまうので軌道修正。
しばらくすると大きな岩があり、「これはいるか岩かなぁ。」などと笑いあう。緩やかな谷は岩塊
流の上部で庭園のようになっている。
「いいなあ。」
ここでお弁当を食べてもいいくらいだ。 |
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稜線にでる |
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稜線は岩塊流からすぐのところで、低い笹の中を歩いていく。ズボンを見ると小さなダニが遊ん
でいる。あのときもたくさんダニがいたよねえ。
でも、周囲は自然林でいい感じ。(^^) |
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稜線を歩く |
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山上庭園でお昼 |
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尾根はよく踏まれ、訪れる人が増えたことがよくわかる。
「ここを通る人がヒルを段ヶ峰まで持って行くんや。」とOAPさん。鹿が運ぶものとばかり思って
いたが、人も運び役をしているようだ。
アセビばかりが目立つ尾根をしばらく歩いていくと、鯨岩からの直登の道と出会う。木の枝で
手作り看板がゆらゆら。「杉山」と書かれ、やまあそさんが名付けた西段ヶ峰は杉山になってし
まうのか。
山上庭園と書かれたプレートが下がる小さなピークでお昼にする。今日は無線各局はみんな
ここにいるので、無線もあまりせず・・・。ゆっくりお昼ご飯を食べる。
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ひっそりとリンドウ |
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オオタワへ向かう |
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山上庭園に来てから1時間近く経つ。来た道を引き返し大乢へ向かう。リンドウが一輪、秋の日を
受けて咲いている。
大乢への稜線もいい雰囲気。何となく記憶に残っているが、その時とは印象がちがうように思う。
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オオタワのお地蔵様 |
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最低の鞍部が大乢で、上千町と奧田路(とうじ)を繋ぐ峠で、昔は千町峠と呼ばれていたらしい。
田路側への道はあまり歩かれていないようだ。
お地蔵様の祠は大風で飛んだのか、近くに放置してある。冬になるとお地蔵様も寒いだろうね。
峠を行き交う人々を見守ってきたお地蔵様も今は登山者を見つめている。時の移ろいをどう感じて
いるのだろう。
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笠杉山へ向かう |
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笠杉山頂上 |
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大乢から尾根を北へ登っていく。地図にある林道が尾根の直下まで登ってきている。個人が作
り始めたが、予算が足りなくなって放置されたままとか。
ブナもある尾根を30分ほど歩いていくと笠杉山山頂(1032.1m)。OAPさんがよく来られてい
て、無線で繋がることも多かった。2年前に来られたときにはヒルが多く、それ以来久しぶりだそう
だ。間伐などで風通しがよくなりヒルはいなくなったようだ。
山頂から段ヶ峰を振り返ると、2本のポールが立った西段ヶ峰(杉山)。双眼鏡でフトウガ峰のポ
ールも確認できる。
霞んでいるので遠望はきかない。微かに氷ノ山のシルエット、その手前に藤無山。東には、千ヶ
峰から北へ続く山々。
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尾根を下る |
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赤テープの尾根を下る |
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下山は宍粟・朝来市界尾根を少し西に歩き、支尾根を南へ下る。赤テープがあり、いい雰囲気の
尾根だ。途中で尾根が分岐していたので、TQFさん、JMMさん、OAPさんは左へ、我々は右の尾
根を歩くことにする。赤テープや大柿布があり、それを辿っていくと沢に下りたつ。 |
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林道に出る |
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気持ちのいい森林王国の道 |
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沢ぞいに少し歩くと林道終点。なぜか林道に水道施設の蓋がある。林道の下に上水道が
通っているのだろうか。
数分で森林王国の林に出る。OAPさんをコールするとまだ林道手前のよう。木漏れ日の
中を歩いていくと車を停めた「千町山の家」の裏手に出た。10分ほどして3人が到着。
TQFさんを見送り、JMMさんたちとしばらくお話しして帰路につく。
岩塊流と鯨岩、兵庫の自然遺産と言っても過言ではない。貴重な自然遺産として大切に
していきたいものだ。 |
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