小さい秋見つけた 大井戸山
兵庫加美町

加美町西山付近からの大井戸山(左の尖ったピーク)


 9月に入ってから暑い日が続いている。真夏のような日ざしは涼しさに慣れた身にはつらいものがある。
但馬妙見山に向かったが、林道を上がるにつれ霧雨が降り、登山口に着いて車から降りると、音を立て
て降っている。
 妙見山をあきらめ、千ヶ峰へ向かう。加美町へ入り、急に気が変わる。
「そうや、大井戸山行こう!」

 青垣町から国道429号線を走り、加美町清水で竜ヶ岳・大井戸山の標識に従って左に曲がる。そのま
ま道なりに進み、林道を上がっていくと、林道終点の登山道入り口に着く。
 林道の途中に和泉ナンバーの乗用車が停まっている。登山者のものだろう。

林道終点の登山口 清水坂のお地蔵さん

 登山口から杉・檜の植林の中を登っていく。この道は氷上町と加美町を結ぶ峠道で、昔はかなり往
来があったようだ。峰越し婚といわれ、氷上町と加美町の間には婚姻関係も多くあったようだ。今は亡
き大叔母も氷上町から清水に嫁いでいる。

 15分ほどで清水坂に到着する。ずっと以前、氷上町三原側からここをめざして登ったことを思い出した。
その時は、道を間違い、急登をへとへとになりながら尾根にたどりついたっけ。その時と同じようにお地
蔵様が優しいまなざしで迎えてくれた。

 お地蔵様にごあいさつし、尾根を南へ歩く。氷上町、加美町ともに植林されている。しばらく歩くと赤松
の混生林となり、落松葉のいい匂いがする。
 尾根に大きな岩が目立ち始めた頃、東の氷上町側が開けた大きな岩の上に出る。水山から安全山、
その向こうに五台山・鷹取山。向山連山と三嶽。弘浪山、氷上町白山、すぐ近くに篠ヶ峰。少し霞んでい
るものの期待した以上に遠くまで望める。
 
安全山の向こうに五台山

 南に進んでいた尾根が少し南西に向かう。北方向を望める岩場からは、三国岳、粟鹿峰、そして、竜ヶ
岳がどーんと座っている。

北には雲のベールを脱いだ粟鹿峰 すぐ南隣は篠ヶ峰

 篠ヶ峰への分岐を過ぎ、しばらく歩くと大井戸山山頂(794.2m)に到着。千ヶ峰は木に遮られて見え
ないが、南・北方面が望める。お昼を食べていると、無線機から隠岐郡移動のMXFさんと千ヶ峰のJA4
IXYさんの声が聞こえる。ブレイクを入れて交信する。父たぬきは、手作りアンテナを木にくくりつけ、無線
をしている。
 山頂の先にまだ踏跡があるので行ってみると、展望のいい岩場に出る。千ヶ峰の展望所だ。杉原谷の
向こうには笠形山。淡路島が霞んでいる。
 山頂は涼しい風が吹き、下界の暑さが嘘のようだ。残暑厳しい9月だが、山の上は秋の風だ。

南方面

 下山していると、人の声が聞こえ、ほどなく五人のグループと出会う。林道に置いてあった車の持ち主
らしい。先に竜ヶ岳へ行かれたという。
 清水坂を経由し、車まで戻る。
 林道をゆっくり走っていると、何かぶら下がっている。車を止めて見るとアケビがたくさんなっている。あ
と1週間もすれば、口を開けて中から特有のいい香りがすることだろう。
 小さな秋を見つけた1日だった。

清水坂 もうすぐ口を開けます


行った日 03.9.7(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 登山口10:25〜清水坂10:40〜篠ヶ峰分岐11:20〜
山頂11:37ー13:16〜清水坂14:00〜登山口14:13