癒しの森 黄葉の扇ノ山を歩く


癒しの森

 毎年、新緑と黄葉の季節には扇ノ山へ行きたくなる。昨年秋は忙しく行けなかったので1年半ぶ
りの扇ノ山。今回はteihaiMLメンバーの方々とご一緒する。

 8時前、大阪から来られるのりかさん、みずさん、もぐさんを石生駅で迎え、和田山でかねちゃん
やまごさんと合流。9号線を一路西へ走る。
 天気は上々、扇ノ山6回目にしてこんないい天気は初めてだ。関宮まで来ると、氷ノ山の山頂小屋
が確認できる。これほどコンディションのいい日はなかなかない。晴れ女、晴れ男の集まりやと車の
中で盛り上がる。

 海上集落はいつものように静かなたたずまい。棚田の土手の草がきれいに刈られている。田畑を
大切に守ってこられた人々の営みが想像できる。
 林道を登るに従い、黄葉の山々が目にとびこんでくる。後ろの席ののりかさんたちが歓喜の声をあ
げている。上山高原近くになると、海が見えてきた。林道から海が見えるなんて初めて。(^o^)

 
上山高原は黄葉真っ最中 海が見える!

 上山高原はなんか様子が違っている。木を伐採し草刈り機で草を刈っている。
「ちょっと刈りすぎやあ。」
 やまごさんから無線が入る。
「上山まで登ってみましょう!」
お昼前から上山高原でフェスティバルがあるらしく、スタッフが用意をしている。
 
リンドウ 白いリンドウも

 上山までは5分ほど。リンドウやアキノキリンソウ、ヒヨドリバナが咲いている。
 草だけの展望360度頂上。これから行く扇ノ山の避難小屋が見える。仏の尾、青が丸には手が
届きそう。ネマガリ竹のすごいヤブらしいが、こちらから見るとそうは見えない。北には青い日本海。
みずさんが「白い波が見えるよ。」という。ほんとかな?と目をこらしてみると、白いものが消えてい
く。やはり波か・・。上山高原付近は黄葉の真っ最中。黄葉と杉の緑が絶妙のコントラストだ。
 扇ノ山山頂はこれほどの展望はないので、すばらしい景色に一同見とれる。
左仏の尾 右青ヶ丸 扇ノ山(左のピーク)

 11時だ。さあ、急ごう。小ズッコ登山口にはすでに数台の車が停めてある。身支度をし、黄葉の
門をくぐって登山道に入る。小ズッコ小屋までの少しの間も色づいた葉があたりを黄色く染めている。
うーんきれいやねえ。
小ズッコ登山口黄葉の門をくぐって

 楓の赤とブナの黄色、まだ色づいていない緑の葉が見事なグラデーションだ。写真ではうまく写せ
ない。
 河合谷からの登山道と合流しいよいよぶなの森に入る。
「でも、こんなもんちがいますよ。もっとブナブナブナやから。」
 小ズッコのぶなの森はいつ来ても、どんな天候でも、ほんとうに癒しの森だ。今日は天気がいいの
で気分は最高!
はて? ハテ?
 大ズッコの下りでは木の間に扇ノ山の避難小屋が見える。
「避難小屋が見えるなんて初めて!」

 大ズッコを下り扇ノ山への登りから振り返ると、黄葉の大ズッコが丸い。何度もなんども深呼吸する。
今日何度目かな。青い空と黄葉の森、厳しい冬が来る前の一瞬の穏やかな時。  
扇ノ山への登りから大ズッコを望む

 少し急な坂を登り切ると鳥取県側の展望所。日本海、湖山池、鳥取市街がよく見える。大山も少し
霞んでいるものの確認できる。ジェット機が航跡も残さず飛んでいく。こんなに平和で穏やかな時を
過ごせるなんて何て幸せなんだろう。
 ブナの葉が風に揺れている。ふと、神戸市にある「人と防災未来センター」で観た『葉っぱのフレデ
ィ』を思い出した。ブナの葉はやがて一枚残らず散り、大地へと戻っていく。葉っぱに自分の生を重ね
る。

 
山頂直前の展望所から鳥取平野を望む 氷ノ山山頂小屋が見える

 ゆっくり歩いたので意外に時間がかかった。正面に氷ノ山山頂の避難小屋がよく見える。早速お
昼ごはん。無線で氷ノ山のTQFさん、三木のMXFさんと繋がる。
 避難小屋の二階に上がってみる。東に但馬妙見山から三川山までの尾根が長く延びている。手
前には黄葉の尾根が見える。上山からは高く見えた仏の尾、青が丸が低い。鉢伏山も近い。

 「そろそろおりましょか。」やまごさんのかけ声で下山にかかる。
 
いつまでも歩いていたい・・・ ナナカマド

 みずさんはさっさと先を歩いている。もぐさん、のりかさんはちょっと千鳥足モード。かねちゃんはい
つものようにじっくりとブナの森を味わっている。
 傾きかけた秋の陽をうけてブナが長い影を作っている。ナナカマドの赤い実が青空に映える。いい
一日だった。

 ブナの森に別れを惜しみながら小ズッコ登山口に戻ると、2台の車が停まり、これから登山なのか
7,8人のグループが準備をされている。話しておられるのを聞いていると、丹波弁のようだ。意を決
して、
「どちらから来られたのですか?」とたずねると、「氷上からです。」「やっぱりそうですか。私も氷上で
す。」
「どういうグループですか?」と私、「丹波山岳会です。」 「えー!」
お話をした方は会長さんで、みなさんとても気さくな方だった。
 その夜は扇ノ山山頂の避難小屋で泊まられるらしい。たくさんの荷物を携えて登って行かれた。星
空の下でおいしいお酒を飲まれることだろう。
 
 車に戻り、低くなった太陽を左に見ながら林道を下る。山はいく秋を惜しむようにあかく輝いていた。


行った日 03 10/25(土)
行った人 かねちゃん、水谷さん、もぐもぐさん、のりかさん
やまごさん、たぬき二人
山行タイム 小ズッコ登山口11:18〜山頂12:45ー13:45
〜登山口14:45