まほろばの里に集う 矢田丘陵オフ
奈良県 大和郡山


 法隆寺の裏から北に小高い丘陵が延びている。矢田丘陵と呼ばれ、人々の憩いの山となっている。大和郡
山にお住まいの芳村さんのご厚意で矢田丘陵オフが催されることとなった。同じteihaiメンバー、生駒の梅原
さんとともに案内してくださるという。芳村さんのレポートやMLの投稿を拝見し、前々から一度行ってみたいと
思っていたので参加させていただく。奈良には歴史的遺産が数知れないが、矢田丘陵周辺も例外ではない。
今回のコースにもたくさん盛り込んでいただいている。芳村さんのHPの矢田丘陵のページを拝見し楽しみに
にしながら当日を待った。


 午前6時半、家を出る。まだ暗い。雨が降っている。春日インターから舞鶴若狭道にのり、中国道に入る。宝
塚まで来ると雨はやみ、曇り空の中に少しだけ青空が覗いている。
 吹田から近畿道、西名阪と乗り継ぎ、法隆寺インターで下りる。空は青い。絶好のオフ日和。大和民俗公園
には9時前に到着する。一番乗りのようだ。
 
 準備をしようとしていると名古屋ナンバーの車が到着。長山さんご夫妻、赤堀さんご夫妻だ。早速、手製の無
線用名刺をもってご挨拶に向かう。全くの初対面だが、MLでおつきあいさせていただいているので、初めてと
いう感じがしない。話をしていると、誰かの車とよく似たのが走ってくる。
「あれー、来るって言わなかったやない。」 島田さんだ。
中国道走行中に電話で話したばかりだ。今日のオフはかなりにぎやかになりそうだ。

 しばらくすると主催者の芳村さんご夫妻が来られ、久しぶりの邂逅にドキドキとしながらごあいさつする。
 そうこうするうち、ぞくぞくと参加の方々が到着され、電車組も梅原さんの車でほどなく来られ、大きな輪がで
きた。初めてお会いするたらちゃん、宮本さん、mimaさん、2002年9月の金剛オフ以来のフェアレディさん、
お久しぶりの幸さん、呉春さん、お正月にお会いしたもぐさん、水さん、もぐさん、のりかさん、貴公子さん
ーとさん

 芳村さんから大和郡山のガイドブックや矢田丘陵の地図を配っていただきさっと目を通す。この日のために
準備してくださったのだ。
 自己紹介をし、予定時刻より少し早めに出発する。総勢21名のにぎやかオフ。
矢田坐久志玉比古(やまたにいますくしたまひこ)神社 二ノ矢塚
 民族公園を右に見ながら西に向かう。公園内ではかやぶき屋根が葺きかえ中。
 最初に訪れたところは矢田坐久志玉比古(やまたにいますくしたまひこ)神社。楼門に木製のプロペラがついてい
る。源田実直筆の書が傍らに飾られている。梅原さんによれば、源田実は飛行機愛好家にとっては憧れの存
在であったらしい。門をくぐると社殿がありお参りする。社殿の左前に注連縄で区切られ縄の巻かれた「二の
矢塚」がある。
 芳村さんの計らいで、神社の奥さまから神社の謂われを詳しくご説明いただく。なかなか興味をそそられる
話だった。
味噌嘗め地蔵 歴史を感じさせる道
 奥さまにお礼を述べ、神社から西、矢田寺へと向かう。朝、ちょっと迷ってうろうろしたところだ。矢田寺はあ
じさい寺とも呼ばれ、その季節にはたくさんの人で賑わうという。また、矢田のお地蔵さんと親しまれ、お地蔵
様が境内のあちこちに祀ってあるそうだ。石段を登るとかたわらに第一お地蔵さん発見。さっそく石仏研究家
の島田さんが何やら何やら説明している。みおくり地蔵さんで芳村さんからその謂われを聴く。
 私のお目当ては味噌嘗め地蔵さん。手作り味噌をなめてもらうと味がよくなると言う。家から持参したおばあ
ちゃん製のお味噌をいっぱい嘗めてもらう。
「久しぶりに味噌をぬってもらってお地蔵さんも喜んではる。」と♀ペンギンさん(芳村さんの奥さま)。
ちょっと塗りすぎてちょっと食傷気味だったかな?お地蔵様。
 矢田寺の裏には四国八十八ヶ所巡拝道もあるとか。一木一草にも何か謂われがありそうな所である。
 
 見どころがいっぱいの矢田寺に心を残しながら、再び歩き始める。歴史を感じさせる土塀のある静かな道を
にぎやかな集団が通っていく。
 道なりに歩いていくと竹藪の道に入り、南へ歩いていく。緩やかな道から木の新しい橋を渡ると勾配が急に
なり、木の階段も表れる。with MTBの水谷さんは大汗をかきながら登っている。
 
花で埋もれたお地蔵さん 広く明るい尾根の道
 路傍にはいっぱいの花で埋もれたお地蔵さんが我々を見送っている。地元の人たちが大切にされているの
だろうなあ。
 階段はしんどいがあたりは雑木の明るい林。木が伐られきれいに整理されている。♀ペンギンさんによると
不必要な伐採もあるとか。杉や桧は間伐してほしいが、コナラなどが少なくなると鳥や動物たちが困るのでは
ないだろうか。
 階段を登り切ると矢田丘陵の主稜線にでる。軽トラも走れる広い道。すぐ近くに国見台展望台があるので昼
食中のご夫婦の横を失礼して登ってみる。あいにく霞んで展望はきかない。
 時間が押しているということだが、ここから往復20分の松尾山に行ってみる。NHKの中継施設と4等三角
点(315m)があるが、展望はあまりない。松尾山からもう少し南へ歩けば松尾寺で、「ゴーン」と鐘の音が
山間に響き、我々の耳にも届いた。
 松尾山から展望台へ戻り、そのまま主稜線を北に歩く。赤松の混じった雑木の林を両側に見ながら貴公子
さんや♀ペンギンさんと話しながら歩く。水谷さんが極楽ロードを快走している。学生らしきMTBのグループが
いくつも追い抜いていく。息子もあんなんしてるんかなぁ?
 
氷が張った南僧坊谷池 矢田峠(矢田寺は右へ)
 低山といえども山の上は寒いようだ。それに先日来の冷え込みで池に氷が張っている。水さんと貴公子さん
が石を投げると石は氷の上を滑って行ってしまった。おもしろそうなので私も投げてみる。
 話ながら歩いていると周りの景色や様子をちゃんと見ていないことが多い。今回も例外ではない。いつのま
にか矢田峠まで来ている。東は矢田寺、西は生駒(萩の台)へ通じている。ここにもお地蔵さんと道標がある。
道標といえば、ハイキングコースには要所要所に案内板や誘導標識があり、現在地やコースが一目でわか
るようになっている。
 矢田峠から少し狭い山道に入り、杉の植林の中を歩き、しばらくすると頂上展望台に出る。後続はまだ姿が
見えないのでちょっと登ってみる。南にアンテナを乗せた松尾山、西には生駒から葛城、金剛に至る山並み。
ひときわ生駒山が大きい。貴公子さんが山の名前を次々に挙げていくが全く未知の山ばかり。霞んでいた東
方の山々も姿をあらわしてきた。少しあやしかった空模様も心配ないようだ。
 
展望所から生駒山
 後続のみなさんが追いついてきたので展望台をおり、すぐ近くのまほろば展望所で昼食タイムとなった。こ
こは矢田山最高所で、東方面が開け、芳村さん夫妻はここから若草山の山焼きを楽しまれたそうだ。若草山
や大仏殿の大きな屋根が確認できる。mimaさんが芳山(ほやま)はどれですか?と尋ねらる。若草山から南
に続く山らしい。
 
目の前には奈良盆地が広がる そろそろ出発しましょか
 記念撮影をし、次の矢田山三角点をめざす。
矢田山三角点を囲みうんちくを傾ける 滝寺廃寺の摩崖仏(一部)
 ハイキングコースからはずれ、矢田山山道に向かう。笹の中に三等三角点がちょこんと座っている。
「この三角点をこれほどたくさんの人が訪れたことはかつてなかったでしょうね。」とは芳村さん。三角点もびっ
くりしているに違いない。以前は三角点への道はなく藪こぎをしなくてはならなかったそうだが、近年、道がで
きたらしい。

 ハイキングコースに戻り、子どもの森に出る。真新しい交流館には煙突がある。入ってみると周辺の生物や
動物などが学習できるようになっている。部屋には薪ストーブに暖かな炎が見える。ここまで車で上がれるの
で家族連れが数組柔らかな陽ざしのなかで遊んでいる。
 少し休んで滝寺廃寺へ向かう。桜の森から車道へ出る。谷底にはたくさんの家庭ゴミが廃棄されている。
「ここを歩くときは谷側ではなく山側を歩いてもらおうと話してたんです。」と♀ペンギンさん。人の目の届かな
い山中に廃棄するのが最近は流行ってるのだろうか、丹波でも峠や山の中に大小のゴミが捨てられている。
それを見るたびに、日本のモラルも地に落ちたなぁ、といつも悲しくなる。芳村さん夫妻は矢田の山にはいる
とき、いつも袋と火ばしを持って行かれるそうだ。ゴミを拾うために。自分たちの山を守ろうとしている人がい
るかと思えば、平気でゴミを捨てる人もある。拾わなくてもいいからせめて落とさないでほしい、捨てないで
ほしい。

 滝寺廃寺は車道から少し入ったところにある。芳村さんの案内がなければ全くわからないところだ。お堂が
あり、その中に磨崖仏があるというので中を覗いてみる。金色の仏像が中心にあり、まわりに何やら彫られ
たものが見える。ふと下を見ると戸の鍵が開いている。そーっと戸に手をかけると戸が開く。どやどやと中に
入り、磨崖仏を撮影する。突然の闖入者に仏像も驚いていることだろう。少し遅れて到着の面々もめいめい
に写真を撮ったり観察したり忙しい。とりわけ自称石仏研究家の島田さんは感激のあまりさらに饒舌になっ
ている。磨崖仏の前には新鮮なお茶がお供えしてある。抹茶茶碗もある。♀ペンギンさんによれば、赤膚焼
きの高価なものであるらしい。やきものに少し興味のあるたぬきとしてはこちらも気になった。
子どもの森から東明寺への道 東明寺
 車道に戻り、桜の森まで同じ道を歩く。狭い道なので車がすれちがおうとすると大変だ。桜の森の手前から
尾根を歩き、東明寺へ下りていく。
 
 裏手に七輪塔があり、由緒のあるお寺のようだ。全員揃うのを待って、最終ポイントの三の矢塚への舗装路
を歩く。
渓流の上に松と御幣が下がった長い注連縄がかかっている。新聞で報道されたこともないそうだが、村の人
たちが山の神様をお祀りしているのだろうか。
 心配していた天候も快復し朝のような青空が広がってきた。渋柿だろうか青空にオレンジ色が映える。もう少
し熟すれば鳥たちがやってきてついばむだろうな。

 
静かにたたずむお地蔵さん 三ノ矢塚

 三の矢塚は田んぼの中にあった。我々が近づいたとき、塚のすぐ近くに大きな鳥の影が・・・。
「あっ、キジ!」
撮そうと思ったときには林の奥に消えてしまった。

 生け垣で囲いの中に入ると邪馬台国想定地の大きな石碑が真ん中に立っている。芳村さんから、
「三の矢塚はこちらですから。」と教えていただいた先には石碑と石が・・。こちらが主役なのに隅の方にある。

 
のどかな矢田の里を歩く「さあ、民族公園へ戻りましょう」 別れを惜しみながら解散(芳村さん夫妻)
 少し傾きかけた冬の日を背に民俗公園に戻る。楽しいオフもそろそろ終わりに近づいた。梅原さんが公園の
入り口で待っていてくださった。ポイントポイントで我々を待ち受け、何かあればすぐ車を手配できるようにして
くださってたようだ。
 案内されたところでしばらく待っていると、主催者の3人の方が大きな荷物を持ってやってこられた。飲み物
や地元の銘菓を用意していただいてるのだ。昼食時に飲み物のリクエストを梅原さんより尋ねられたが、この
ときのためだったのだ。金トトのお菓子とおいしい紅茶で身も心もほかほかと温まる。

 集合場所の駐車場に戻り、解散。オフの余韻に浸りながら帰路についた。


 芳村さん、梅原さんにはほんとうにお世話になりました。「ひだまりオフ」は「おだまりオフ」と改称した方がよ
いくらいにぎやかな集団でしたが、最後まで至れりつくせりで、たくさんの方々と楽しいときを過ごすことができ
ました。ありがとうございました。


 矢田丘陵周辺については、芳村さんのHPをご覧ください。詳しく紹介してあります。(^^)/
 オフの様子は梅原さん製作のこのページをご覧ください。(^o^)


 後記
 その後、我が家のお味噌は以前にも増して味がよくなりました。お地蔵様ありがとう。
 
行った日 04 3/31
行った人 芳村さんご夫妻、梅原さん、長山さんご夫妻、あかほりさんご夫妻、mimaさん、たらちゃん
フェアレディさん、のりかさん、幸さん、呉春さん、宮本さん、水谷さん、もぐさん、貴公子さん
みーとさん、島田さん、たぬき二人 計21名
山行タイム 大和民俗公園9:55〜矢田坐久志玉比古神社10:05ー10:30〜矢田寺0:40ー11:00
国見台展望台11:30〜松尾山11:45〜矢田峠12:20〜頂上展望台12:25〜
まほろば展望所12:30−13:20〜矢田山三角点13:25〜子どもの森13:50−14:00
滝寺廃寺14:15ー14:25〜東明寺14:45〜14:55〜三の矢塚15:15〜15:20〜
15:45〜16:00コーヒータイム〜民俗公園16:15(解散)