秋風に吹かれて大山
鳥取県

  米子道からの大山

 3連休真ん中、さてどこ行こう?久しぶりに岡山方面へ行ってみようか。去年11月の星山〜
櫃ヶ山縦走以来、久しぶりの中国道西方面移動。津山あたりを走っていると、北に那岐山がく
っきりと見える。天気も西の方は大丈夫のようだ。走りながら行き先を大山に変更。米子道へ
入る。蒜山高原から大山を見ると、ガスがかかっている。「うーん、あかんかなあ・・。」 しかし
江府町に入るとガスの切れかかった大山がきれいに見えるではないか。「これは展望が期待
できそうやね。」

 家から3時間で夏山登山道登山口に到着。高速道路のおかげで、以前に比べ格段にはやく
来られるようになった。

ツリフネソウ 丸太で階段とフェンスが・・

 車を登山道近くの路側に置く。そばにはツリフネソウが今を盛りに咲いている。この花に逢う
と「ああ、秋やなぁ。」といつも思う。この前大山に来たのはいつだったか・・、暑い夏だったな
あ。息子は小学校中学年。山麓に一泊したっけ。少しずつその時の記憶がよみがえってくる。

 ブナなどの樹林帯をしばらく歩く。すぐ横に何を運ぶのか軌道が設けてある。少し歩くと、た
くさんの丸太が置いてある。真新しい木の階段、丸太のガードレールなど、登山道とそばにあ
るブナを守るための工事が行われているのだ。日曜なので今日はお休み。多くの登山者で道
は荒れ、大雨が降ると、ブナの根元の土はごっそりとなくなるのだろう。今にも倒れそうな姿が
痛々しかった。
 
 少しオーバーペースか・・。四合目を過ぎ、「ああ、しんど。」と普段あまり使わないことばが出
てしまう。五合目で小休止。「山の神」の前でみかんと甘納豆でエネルギー補給。少し休むと
元気が出る。

 それにしても登山者の多いこと。途切れることなく、休憩する我々の前を歩いていく。家族連
れ、友だち同士が多い。「ここは街中かぁ?」 町を歩くのと同じような服装で歩いている人々
を見て、父たぬきは何度も驚きの声をあげる。子どもも多いが、若い人たちがたくさん登ってい
て、それも驚きだった。大山はメジャーな山やからねえ。
緑の宝石のよう シオガマギク


 およそ、一時間で六合目に到着。ベンチなどが設置され、以前来たときより整備されている。
休んでいる人たちの横をすり抜けさらに登っていく。
6合目 チングルマの冠毛のよう

 灌木の間の狭い道を、下りてくる人と道を譲りあいながら登っていく。崩落防止の防護ネッ
トの道は歩きにくい。
 登山道の脇のシオガマギク?、トリカブトなどが目を楽しませてくれ、しばししんどさを忘れ
る。フワフワの毛のような花、それがチングルマの冠毛のように見える。
トリカブト 色づきはじめたナナカマドの向こうに北壁

 ナナカマドの葉が少し色づきはじめている。その向こうに北壁が荒々しい姿を見せている。
富士山のような端正な姿と岩肌をむき出しにした荒々しい姿の両方の顔を兼ね備えている
ところが、人々を惹きつけてやまない大山の魅力だろう。
イブキコゴメグサ シコクフウロ

 9合目を過ぎると、木の階段になり、木道が頂上まで続いている。登山者が歩くので、木
道の真ん中は摩耗し、ボルトが飛び出ている。
 花の終わったサラシナショウマやナンゴククガイソウのお花畑にピンクの大きなフウロソウ
が目立つ。シコクフウロか。
 辺り一帯はダイセンキャラボク群生地。幾年も風雪に耐え、あんなに腰が低くなったのかな。
人ひとヒトの山頂

 頂上は鈴なりの人・ひと・ヒト・・・。段になった木道はおべんとうを食べる人たちでごった
返している。石碑では写真を写す人が順番待ちをしている。東側斜面は大きく切れ落ち危
険だ。立ち入り禁止の表示があるが、少し足をのばしている人もいる。その先を見ると、ナ
イフの刃先のような稜線。危ないあぶない。

 さあ、お昼にしよう。避難小屋の前の空き地に陣取る。汗をかいているので、じーっとして
いると寒くなってきた。夏の間使わなかったコンロを出し、久しぶりにラーメンを作る。「うーん
おいしい!」少しだけ体が温まってきた。
 無線機をワッチすると、6エリア(九州)大分からCQが出ている。応えようとするが混信して
だめだった。頂上へ行き、兵庫方面へ呼びかけてみるが、応答がない。タイミングがわるい
のかな?
 父たぬきはトイレへ行こうとするが、ながーい列ができていてあきらめて帰ってくる。
 このままいても体が冷えるばかりなので、下山にかかる。寒さで手がしびれてなかなか暖
まらない。登ってくる人は相変わらず多く、何度も道を譲る。
弧を描く弓ヶ浜

 足下に注意しながら慎重に下る。途中から元谷コースを下りる。8月末まで工事をしていた
そうで、真新しい木道、階段がずーっと続いている。しかし、ブナの原生林に囲まれとても雰
囲気がよい。ブナの森はいつも私を癒してくれる。若木があるので、この森もまだまだ大丈
夫だろう。
 階段下りに飽きたころ、少し平坦な道となり、ガレた元谷に出た。ここから眺める北壁はす
ごい迫力で私たちを圧倒する。若者たちのグループがにぎやかに談笑している。元谷を横
切り、作業道を歩いて大山寺までたどり着いた。
 

元谷コースの木道 気持ちのいいぶな林


 学生のころ近くで合宿をし、休憩時間に大山寺までよく散歩したものだ。そのころと比べ、
周辺はすっきりあか抜けした感じがする。しかし、不況のせいだろうか、以前よりも観光客
が少ないように感じたのは気のせいだろうか。
 
元谷から仰ぐ北壁 日本一長い?石道
 久しぶりの大山を満喫し、さわやかな気分で車まで戻る。大山寺周辺のほとんどの旅館に
「お風呂入れます」の張り紙があったので、さっそく行ってみる。入浴料400円。体も心もさっ
ぱりし、帰路に就く。

 米子道入り口手前で振り返る大山は、やはり人を引きつける魅力的な山だった。黄葉のこ
ろにもう一度訪れたいものだ。


行った日 02 9.15(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 夏山登山道登山口8:40〜6合目9:40〜山頂10:40−11:40〜
元谷分岐12:45〜大山寺13:40〜登山口14:05