午後から雨の予報。午前中に近いところへ行こうと地形図を眺めていると、いいところがある。
柏原町母坪、田路の西に連なる100m〜200mほどの山々。
帰りに買い物をする予定なのでコモーレに車を置く。柏原川が加古川に合流する地点は山の
端が北に付きだし、大きくカーブしているところだ。ここがとりつきである。しかし、登ろうとしたと
き地形図を車に忘れてきたことに気づく。取りに戻るのも面倒なので、何とか思い出しながら歩
くことにする。
急な斜面を少し登ると平坦なCa120mに出る。コンクリートの土台と倒れた小さな祠がある。
2つの家が栄えることを願って作られたもののようだが、最近訪れた形跡はない。この西面は
氷上郡教育委員会によって発掘調査が行われた。どのような遺構があったかは失念したが、
この周辺一帯を発掘すれば何かは出てくるだろう。このピークも砦跡かもしれない。
いったん下って登り返すと平坦地が3段、曲輪跡のようだ。156.5mの山頂は、藪に覆われ
三角点も草に埋もれている。ここが穂壷城趾で、丹波志には、城主は稲継壱岐守。光秀に夜
討ちで攻め落とされたとある。
南面にも曲輪跡が残り、今は植林でうっそうとしているが戦国の世には人々が行き交ってい
たのだろう。下りはじめて見えるはずのない家の屋根が下の方に見える。やはり地形図は必
要だ。 |
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倒れた祠が放置されたままです |
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3段の曲輪跡が・・・ |
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少し東へ歩いて尾根に出る。竹藪と倒木を越えるとお墓に出る。墓地は一軒ずつ分かれていて
お参りのための細い道が続いている。小さな切り通しを東に抜けると母坪からコンクリート道が上
がってきていて、その上にはまとまった墓地。
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妙見さん |
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向山連山 |
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お墓の横を通り母坪からのコンクリート道を歩いて上がると広場に出る。ここが母坪の妙見さん。
父たぬきは小学校の時に遠足などでよく来たそうだ。長く伸びる向山連山が東正面にどっしりとし
ている。妙見さんは掃除が行き届き、素朴な中にも清らかな雰囲気が漂っている。裏側にまわると
紅葉が1本だけ残っている。そのそばには八重の椿。誰に見られることもなくひっそりと咲き散って
いく。 |
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名残の紅葉 |
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静かに散って・・・ |
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広場があり、お弁当持って遠足に来るには最適のところだ。近くにこんないいところがあるなんて。
紅葉と椿をもうしばらく見ていたかったが、天気が気になるので妙見堂をあとにする。
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標識の根元は・・・ |
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左五台山 中央五大山 右向山西面 |
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その先は藪かなと思ったが、幸い比較的歩きやすい尾根が続く。小さなピークを過ぎた鞍部に火
の用心札があり、東側から巡視路が上がってきている。しかし、火の用心の標識の根元はたくさん
の空き缶。「なんやねん!これ!」 思わず大きな声が出る。製造年月日を見るとずいぶん前のも
のだ。
ここからは快適巡視路が続く。いいねえ、この道!
少し登ると北摂長田野線の鉄塔90。展望がいい。北に今歩いてきたばかりの穂壷城趾、妙見さ
んが見える。電線の方向に五台山〜石生城山の分水界の山々。その向こうに尖った千丈寺山。安
全山や水山の頂上は雲がかかっている。篠ヶ峰方面も雲。雨が近いね。
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快適巡視路 |
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弘浪山ももやっています |
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しばらく巡視路が続き、歩行が捗る。しかし、Ca190mと208mピークの間は倒木で巡視路も
無惨に寸断され歩きにくい。跨いだりくぐったりしながらようやく208mピークの下まで来る。鉄
塔88はピークの西にあるので巡視路に沿って鉄塔まで歩く。90鉄塔よりも高いので、これまで
歩いてきたところがよくわかる。時間にすればそれほど経っていないが、こうして見ると距離があ
るように見える。展望も開け、弘浪山が西に浮かび、南には尖った高見城山。
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208ピーク |
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南に尖った高見城山 |
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少し登ると208mピーク。このピークも平坦で山城跡であったと思われる。氷上郡志にある谷屋
砦のあとだろうか?それとも丹波志に載っている猪ノ山古城跡だろうか?ここなら見晴らしがよく
砦などには最適だろう。
鉄塔から南へ少し歩くと巡視路は尾根から離れ、目の前が明るくなったと思うと崖に出る。萱刈
峠の採石場の真上に出たようだ。下を見ると足がすくむので、気をつけて下りていく。
植林の中を歩き出たところには池と鉄塔。いつも車で走っていると、気づかないが歩くといろいろ
な発見がある。
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古いポスト |
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洞窟? |
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舗装路を歩いて車に向かう。北山と田路の間の切り通しを歩いていると東に洞窟のようなもの
が見える。近づいてみると戸が締まっている。「何やろね?」 防空壕?鉱山跡? 養蚕用の桑
の貯蔵庫? これまでの経験からいろいろ推測してみる。ふと横を見ると竹藪の中にオリエンテ
ーリング用の古いポストが立っている。兵庫県オリエンテーリング協会の名があるが、今は使わ
れていないようだ。
歩いていると仕事中の男性がおられたので洞窟のことを尋ねてみる。以前は、ここにさつまい
もなどを貯蔵していたそうだ。そういえば、昔は家の土間に穴を掘ってその中に囲っていた。さつ
まいもは寒さに弱いのでこのようにして貯蔵するのだ。
ぶらぶらと歩いて車に戻ると、ちょうど雨が落ち始めた。下から見ると何もないような低山だが、
登ってみると、城跡、妙見堂、展望のいい鉄塔など見所の多い山だった。やはり山は登ってみな
いとわからないね。
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