前夜、星がとてもきれいだったので、今日は空気も澄んで展望がいいだろうと、氷ノ山へ向かう。
福定まで来ると、民宿からザックを背負った若者が出てくる。その先の、親水公園までの道もぞろ
ぞろと高校生の列。ザックには高校の名前を書いたゼッケンが貼ってあり、遠く和歌山、奈良、滋
賀の高校もある。
駐車場におられた関係者に尋ねると、今日は高校ワンゲル部の近畿大会。コースは、東尾根〜
氷ノ山山頂〜ぶん回し尾根〜鉢伏山。今から親水公園の広場で開会式が行われるらしい。
広場にはたくさんの高校生が集まっている。一チーム4人で、揃いのユニフォームの高校もあれ
ば、全く自由というところもある。たぬきの出身高校の男子生徒がいたので「がんばって」と声をか
ける。
親水公園付近にはツリフネソウ、アキチョウジなどの花々は今が盛り。ヤマジノホトトギスも咲い
ている。山頂まで「4.5km」の三角の標識。
「えっ、4.5kmもあったっけ。」
親水公園から登るのは実に10年ぶりくらいかな? |
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開会式を待つ高校生 |
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登山道は先日の台風で少し荒れている。折れた枝や流れてきた木が散乱して歩きにくい。昨日
の雨で増水し、川は大きな水音を立てて流れている。
布滝、地蔵滝も水量豊富で、近くにいったらマイナスイオンをいっぱい浴びることができるだろう。
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布滝 |
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地蔵滝 |
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つづらおれの急登でたちまち汗びっしょり。しかし、「曲がり坂終わり」の標識地点からはひんやり
した空気が流れ、それほど暑さを感じなくなった。ブナの木も現れ始め、いい雰囲気。道ばたには、
いろいろなキノコが生えている。えびちゃんなら、何ていうキノコか知ってるだろうにね。
道がなだらかになり、植林が目立ち始めると、地蔵堂。かの加藤文太郎もここで泊まったという。
お堂の中には木彫りの仏像が安置してある。
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ブナの森はきもちいいなぁ |
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弘法の水 |
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ブナの木が多くなり、新緑、黄葉の頃はきれいだろうな。岩のわずかなすき間から水がわき出て
いる。弘法の水。ひとくち、口に含んでみると、気のせいかブナの味がした。
広い登山道をしばらく行くと、また水場がある。一口水。今日は水が多く、一口どころか何口でも
飲めそうだ。
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氷ノ山越えの若者たち |
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こしき岩 |
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一口水を過ぎると、左に少しガスのかかった山頂避難小屋が見えるようになる。徐々に青空が広
がり山頂からの展望が期待できそうだ。
ほどなく、氷ノ山越え。氷ノ山越えを挟んだ道は「伊勢道」と呼ばれ、お伊勢参りの道だった。親水
公園からの道は石垣などがあり、往時の面影を残している。鳥取側の舂米(つくよね)にもその石碑
もある。また福定にも伊勢道と書かれた道標があった。また氷ノ山越えには、天保年間のお地蔵様
や因幡堂跡の石碑もあり、昔の往来の多さを物語っている。
ベンチに座って休んでいると、大会の関係者が山頂から到着。補助員の生徒3名と先生2名。先行
してポイントを設置しているそうだ。今日は近畿各地から40チーム参加。審判の腕章をつけておられ
るので、点数はどのようにして付けるのか尋ねると、ポイントがどこにあるのか、地図上の登山道に
対して直角に線を引き、誤差2mmまでは満点。2mmというと実際には50mの範囲内ということだ。
なるほど、我々でも地形図を見ながら、今どこにいるのかわからないときがある。高校生にどれくらい
の地図読みができるのだろうか。あとで結果を知りたいものだが・・・。
先生が持っておられた地形図を見せてもらおうとすると、やんわり隠された。(*^_^*) 大事な試験の
問題が載ってるのだから当然だろう。
しばらく休むと、後から選手が追いついてくるといけないというので、5人は赤倉の頭に向かって出
発。入れかわりに親水公園方面から補助員腕章の高校生3名到着。学校を尋ねると、たぬき二人の
母校だった。出身町などを尋ねていると、今度は若桜スキー場の方から若者数名到着。高校生かと
尋ねると、大学生。「どこの大学?」「○大です。」「ひゃー、私も。」
奇しくも、たぬきの高校と大学の後輩たちである。大学生はワンゲルではないようだが、歩き慣れ
た雰囲気だった。
若者たちにあいさつし、山頂をめざす。春3月に歩いたときはブナの大木だけで、ねまがり竹は深
い雪の下だったが、今は私の背丈を遥かに越えてフェンスのようになっている。
仙谷コースへの分岐を過ぎるとこしき岩。岩陰でダイモンジソウが風に揺れている。目を上げると
扇ノ山がのんびりと羽を広げている。
山頂直下の階段を登り切るとようやく到着。山頂からの展望は期待したほどでなく、西の方は何と
か見えるものの霞んでいる。東はガスの中で全く展望がない。
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仙谷コース分岐から扇ノ山 |
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空は秋の色 |
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山頂には、大会の関係者らしき先生と生徒二人。東尾根から登ってくる高校生を待っている。標識の
周りの丸太に座って休んでいると、京都の高校がまずやってきた。みんな明るい。到着時刻と赤倉山
の向こうが土砂崩れという注意を聞いてから、方位盤のところで休憩している。ザックから飲み物や食
料を出してお昼ごはんを食べるようだ。若者に見とれていると、次々に登ってくる。我が母校は6,7番
目くらいか。速さを競うものではなく、5時間半以内で鉢伏高原につけばいいらしい。 |
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お昼ご飯中の高校生たち |
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三ノ丸 |
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ユニフォームを着ているところ、全くの私服の学校など格好は様々。何を食べているのかなとたぬ
きのおばちゃんは興味津々。複数の学校で食べていたのが、スティックソーセージと1個100円く
らいの大きなゼリー。その学校で食べているものがちがい、見ているとなかなかおもしろい。早く到
着した学校は、ゆっくり休んで氷ノ山越えに向けて出発していく。リーダーらしき生徒がノートに何や
ら書いている。
「今日の氷ノ山の平均年齢は低いなあ。」
「これまでの最低ちがうかな?」
平均を上げているのは我々と二組の一般登山者のみ。
「山登りは高校で終わらず、これからも続けてほしいね。」
そんなことを思いながら、出発する高校生を見送る。
10時半頃に山頂に着いてからかれこれ2時間になる。12時頃になったので、無線でteihaiMLを
コールする。すぐに中町妙見山のTQFさんとつながり、その後、那岐山のOAPさんと3局で交信す
る。OAPさんとは久しぶりだ。父たぬきは、2mSSBの方でCQに応えている。
高校生はどのチームも出発し、替わって一般登山者が多くなった。東尾根の方から競技参加各校
の先生方が登ってこられた。少し休憩して、生徒たちと同じ方へ下りて行かれた。
山頂滞在2時間半、我々もそろそろ出発しないと・・。ガスがきれ、ようやく東の方の山々も見える
ようになってきた。 |
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古生沼は立ち入り禁止 |
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台風で折れた千年杉 |
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山頂から古生沼までロープが張られ、
『氷ノ山北東斜面は西日本唯一の湿原です。富栄養化すると貴重植物が絶滅するので周辺で用
便しないでください。』
という札が架かっている。古生沼は立ち入りができないように網が張ってある。トイレが設置された
のも上記のようなことを懸念されてのことだろう。
千本杉では大きな杉が折れ、先般の18号台風のすさまじさを物語っている。はじめの木道を過ぎ
た頃、2歳くらいの子どもを抱いたお父さんに出会う。
「わー、今日出会った中で最年少やね。」と驚きの声を上げていると、後ろからお母さんが登ってこら
れる。でもお腹がぽっこり。
「最年少は後ろです。」とお父さん。
「滑らないように呉々も気をつけてくださいね。」(私)
「はい、行けるところまで行ってみます。」(お父さん)
かなりお腹が目立っていたので、もう臨月近いかも・・・。当然、大段ヶ平からであるが、そんなにし
てでも登るなんて山が好きなんやなぁ、と感心したり案じたり・・・。
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東尾根の道 |
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東尾根避難小屋から但馬妙見山 |
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ブナの木の一の谷を過ぎ、東尾根のドンダンツツジの群生の中を歩いて、東尾根避難小屋で一
休み。但馬の妙見山が間近にみえる。帰ってから、妙見山麓に軽飛行機が不時着したというニュ
ースを聞き、我々が氷ノ山山頂にいる頃のことなんだとびっくり。
避難小屋からは登山口まで延々と木の階段が続く。登るのはしんどいが下りるのも一苦労。登
山口近くまで下りると、伸びやかな鉢伏からぶんまわし尾根が目の前に広がる。登山道沿いには
秋の花々がいっぱい。
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東尾根登山口付近から望む鉢伏山 |
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登山口からキャンプ場を過ぎ、氷ノ山国際スキー場から舗装路を親水公園まで歩く。道沿いには
ツリフネソウ、ヤマジノホトトギス、アキチョウジが満開。先を行く父たぬきを追いつつ、写真も写さ
ねば・・・。男女二人づれに追いつくと、道の真ん中に向けて石を投げている。道路の中央でまむし
が頭としっぽを立てているのだ。私が足早に通り過ぎると、お二人も私の後に続いて無事通過。
親水公園に着くと、車の数も減り、陽も西に傾き始めている。軽くストレッチをして車に乗り込む。
高校生たちもすでにゴールに着いていることだろう。
氷ノ山で高校生の若々しい姿に接し、たぬきもさらに若返った一日だった。(^o^)
氷ノ山で出会った花々はこちらをどうぞ。(^^)/
地図はこちらをご覧くださいね。
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