兵庫丹波 雪の金山〜譲葉山彷徨記
 

【行った人】丹波のたぬき夫婦      【行った日】2000年2月27日(日)
【天気】  晴れのち雪         【2.5万図】 柏原

  
 鐘が坂峠は氷上郡と篠山市の境に位置し、昔から交通の要衝であった。
現在のトンネルは2代目。父たぬきは高校時代、サッカー同好会(クラブに昇格して
いなかった)で、1代目トンネルまで毎日ランニングをしていたそうな。また、新た
に3代目ができる予定である。
 
 小さい頃から、幾度この峠を通ったことだろう。
今回は金山(540m)からこの峠の上を歩き、柏原町の譲葉山(594m)まで縦
走しようという計画である。

 金山への登山口は、大乗寺と追入神社の2コースあるが、大乗寺側から登る。
先日来の雪で、辺りは真っ白。山道にも4,5cmの雪がある。 
尾根道に陽ざしが斜めに射し込み、春の気配が感じられる。

 約40分で金山山頂。
葉を落とした木々の間から、白い兵庫丹波の山々。

 西に少し下ると、鬼の架け橋。
かの安藤広重も「六十余州名所図絵」のなかに「丹波鐘が坂」として描いている。
鐘が坂の柏原側には、鬼の架け橋展望所が設けられている。 

 さすがにここまで来ると雪も多くなり、20cmほど。
たぬきか鹿、それともいのししなのか、動物の足跡だけが雪の上に続く。

 さあ、ここからが本日のメインイベント。
 金山に戻り、譲葉山をめざす。
北東に尾根をたどり、瓶割り峠への分岐から北西尾根に方向転換する計画である。

 しかし、展望はなし、踏み跡もなし。雪の植林帯を彷徨っている間に現在位置が?
ここはどこ、私は誰? 雪の中を歩いていると距離感がおかしくなるようだ。
トンネル手前の422Pを分岐だと勘違い。赤テープは北東を指している。
このまま行くと春日町に出てしまう。どうしよう。

 青いPPロープに従って進む。
いつしか尾根をはずれ薄暗い谷の巻道へ。しばらく歩くと下の方から車のエンジン音。
植林の間から見覚えのある風景。鐘が坂トンネルの柏原側だ。
青いテープを信用したために回り道をしたようだ。
とにかく、もう一度尾根まで這い上がる。

 東方向に三尾山が見えるポイントに到着。12時も過ぎたことだし、ここで昼食と
する。ラーメンができる間に母たぬきが、北方面の尾根を偵察に行く。
どうやら譲葉山への尾根らしい。ということは進路は正しかったことになる。
ラッキー、天は我々を見放さなかった。
後で確かめると、そこは431.8Pであった。

 迷いそうなところには赤い布があらわれる。
あとは尾根をはずさないように歩く。雪が積もっているのではっきりとは判らないが、
ブッシュや倒木などが多そうだ。しかし、歩くには快適である。気持ちに余裕が出て
くると周りの景色も目に入ってくる。

 篠が峰の方から雪がやってきそうだ。さきを急ごう。
譲葉山への最後の登りに取りかかる。この登りがけっこうきつい。
4時間近く雪の中を彷徨ったあとだけに、足に力が入らない。
なんとかたどりついた頂上には、見覚えのある権現堂。
積雪も30cmをこえている。

 ここまで人間の気配は全くなかったが、お堂の前に柏原側から人の足跡。
なんとMTBのタイヤの跡まであるではないか。まさか島田さんでは・・、などと
言いながらその跡をたどって下山する。雪が激しく顔に当たる。
 高御蔵山からCQが出ているが、寒くて応える余裕などない。
大安寺跡につく頃には雪もやみ、お日様も再び顔を出してきた。
柏原高校野球部グランドは、練習が休みなのかひっそりと静まり返っている。

 一時は救助隊を頼もうかと思ったが、無事下山でき一安心。
地図をしっかり読みとることの大切さを痛感した1日だった。
そういえば、千丈寺山オフでは、かねちゃんが要所要所で地図をひろげて位置を確認
しておられたっけ。
我々の勘に頼る山行が、いかにいい加減で危ないものなのか改めて認識する。


  追記
     島田さんのHP「山であそぼっ」によると、譲葉山のMTBの跡は
    織田正憲さんであったらしい。