今日は山はお休みにしようと思っていたが、島田さんから大箕山(おおみやま)へ行くという連絡
が入る。丹波市になって初めての市長・市議の選挙をしたりして用事をしていると、出発が遅くなっ
た。島田さんは「二度びっくり」を経由して登るという。間に合いそうにないので、山垣(やまがい)か
ら稲土へ抜ける峠に登り、尾根を南へ歩いて大箕山へ行くことにする。途中で島田さんを無線で呼
び出すと、「ぼくらは、・・・・」ということばが・・・。「えっ?ぼくら?」 島田さんにはお連れがあるらし
い。父たぬきはそれが誰なのか、いたく気になる様子。(^o^)
地形図では破線の道がかなり北にあり、地形を考えれば不自然なところに峠がある。とにかくそ
の破線道をたどれば何とか尾根に出られるだろう。
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お墓のそばを通って・・・ |
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急斜面から滝を見下ろす |
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遠阪小学校に車を置かせてもらい、破線の道をめざす。集落のいちばん奧には「百石佛」と掘られ
た石碑がある。台座石を見るとどうも誰かのお墓のようだ。その裏手には猪垣があり、その向こうに
苔むした石段が続いている。何かなぞめいた雰囲気だ。
植林の中の林道は徐々に細くなる。沢沿いのいい雰囲気の道が続く。以前はあった橋が落ちたと
ころには石組みも見られる。「これは峠道だった証拠やね。」
しかし、ついに谷は急傾斜となり台風の大水で荒れて道はとぎれてしまった。これ以上進めそうに
ない。
上を見ると尾根らしきものが見える。「とにかくあそこまで行ってみよ。」
沢の左岸に渡り返し、倒木を乗り越え、頼りにする木もないような急な斜面を四つ這いで必死で登
っていく。父たぬきはとうの昔に尾根にあがって私を待っている。折れた竹や細い木に体重を預け、
「よっこらしょ」、と登ったところは用意した地形図からもはずれた支尾根だった。
尾根は少し急だが、今登ってきた斜面に比べれば天国だ。倒木もなく赤松のいい匂いがする。や
れやれ今日はそれほど苦労なく登れると思ったのに・・・。
無線で島田さんをコールすると我々の近くのようだ。大箕山への尾根に出たところで、父たぬきが
前をゆく島田さんとその後ろを歩く女性の姿を確認する。
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いい雰囲気の山頂(点名 稲土) |
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ちょうど三角点のあるピークへの登りだった。二人に追いつくと、島田さんの掲示板でおなじみの
ニコラスさんだった。彼女は暑いと言ってノースリーブで歩いている。若いから寒がりの我々とはち
がうね。
我々が出てきたCa520mピークと次の三角点ピーク間の鞍部は歩いてきた谷の源頭である。急
な斜面に踏み跡すらない。谷を遡行せず、尾根にあがったのは正解だったかも・・・。
三角点ピークは点名稲土(542.8m)。山頂は広くてくぼんでいる。冬枯れの雑木に魅せられ、
それぞれに感嘆の声を上げる。いいなあ、こんなところがあるなんて想像もつかなかった。窪んだと
ころは小さな池になっている。
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お昼ご飯のあとはコーヒータイム |
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ちょうど、お昼時、「ここでお昼ご飯にしよう。」 予定では、大箕山到着12時頃の予定だったが、
こんな雑木の中で食事ができるのなら、これもよかったね。
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粟鹿峰の天気も怪しくなって・・・ |
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雑木のピークをさあ出発(画像提供 やまあそさん) |
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ポツポツと雨が落ちてきた。馬酔木の陰で雨を除け、お昼にする。コーヒーを飲み、三角点を確認す
ると大箕山へ向けて出発。粟鹿峰の上空も黒い雲で覆われてきた。雨雲が近づいているようだ。
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下り始めると大箕山が大きく見えます |
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峠 |
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点名稲土からの下りは、植林の急な下り。下り始めると、これから向かう丸い大箕山が木々の間から
顔を出す。若い桧を持ちながらあっという間に地形図の破線の道のところまで下りてきた。道は?とさが
すが山垣側にも稲土側にも見あたらない。通る人もいなくなってわからなくなったのかな?
もう少し下ったところかも?と尾根を南へ歩いてそれらしきところをさがすがやはりない。
「山垣へ下りるのは、この急な植林を下りるしかないのかな?」 我々の心の中に下山時の不安がよ
ぎる。
雨が強くなってきた。植林の中なのでそれほど濡れないが、それでもザックカバーだけ付けて雨に備え
る。
植林から雑木の尾根になり、大箕山への最低鞍部に来たとき、明白な峠道が現れる。「これや!これ
が峠道なんや!」 稲土にも山垣にもよく歩かれた道が下っている。
下山路の不安がなくなり、一同「ホッ!」
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大箕山への急登 |
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大箕山山頂 向かいはガスの岩屋山 |
峠からはいよいよ大箕山の急登が始まる。標高差250mほどを一気に登る。大箕山は文字通り箕
をかぶせたような山だが、そのような形の山は登ってみるとしんどい。市島町の荒木山、柏原の譲葉
山などもそうだった。大箕山も等高線が混み、どこから登ってもかなりしんどいようだ。風が強く横殴り
の雨が顔に当たる。ニコちゃんと島田さんは少し後から登ってきているようだが、姿が見えない。
植林の中を直登し、倒木が現れてきたら頂上。NHKの中継施設が建っている。その後ろにちょこん
と三角点(626.3m 三等三角点 点名大箕山)が埋まっている。南から軌道が上がってきているの
でこれで機材を運ぶんだろう。時間があって天気がよければこの軌道沿いに下りてみたかったが、今
回は無理のようだ。晴れていれば南の展望がよさそうだが、雨で霞んでいる。正面の岩屋山も鉄塔は
雲の中。西の粟鹿峰も見えない。
しばらくすると島田さんだけが到着。すぐにニコちゃんを気遣って様子を見に下りたが、再び登ってき
そうにないので我々も下山にかかる。
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虹がかかる (切り開きから) |
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峠からの道は快適 |
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下りる途中、切り開きから東の方が見え、空に今にも消え入りそうな虹がかかっている。これから
の季節、但馬に近い青垣町はこんな時雨日和が多くなってくる。でも、虹を見ると得した気分。
峠のすぐ上をニコちゃんと島田さんが下りている。我々は一足先に峠から下りて峠道の様子をみ
ることに・・・。
倒木がすこしあるものの、峠からの道はとぎれることなく続いている。標高250mほどまで下りて
くるとお地蔵さんがあり、右やまみち、左いなつちと刻まれている。これは峠道だという証拠だが、
あの地形図の破線はいったいどういうことなんだろう?
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里に下りると雨も上がり始める |
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道標のお地蔵さん |
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お地蔵さんからは広い林道になる。しかし、水で土が流され、岩がゴロゴロした川底状態になっ
ている。歩きやすい植林の中を歩き、猪除けネットをくぐるとようやく今日の山歩きも終わり。少し
歩くと、ここにも道標のお地蔵さんがある。朝、川の向こうから見えたが、私はお墓だと思ってい
た。
雨もやみ、青空も見えている。小学校まで戻り、車で島田さんたちを迎えに行き、島田さんの車
まで二人を送る。
地形図破線の道の謎はその夜解ける。「兵庫丹波の山」(慶佐次盛一著)によると、昔、隠し田
が稲土側にあり、それを隠すためにわざと離れたところに道があるように見せていたようだ。
次回は稲土側から歩いてみたいね。 |
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