ブナの森にいやされて扇ノ山

行った日  01.5.26
行った人  たぬき二人 
 頂上でOAPさん

 新緑のブナにあいたくて、扇ノ山に行くことにする。家を5時に出発。夜明けがはやくなり、早起きも苦にならない。
9号線から望む氷の山は霞んでいる。海上の集落も田植えがすみ、早苗が朝風に揺れている。幅1mほどの棚田に
もていねいに苗が植えられている。きれいな空気と水で作られたお米はおいしいだろう。林道脇では、栃と朴の花が
満開だ。路傍に黒くなった雪が残っている。

 およそ2時間で小ズッコの登山口に到着。身支度を整えて歩き出す。すぐ近くでカッコウが啼いている。ほどなく、ホ
トトギスの声。ウグイスもまけじと歌い出す。そこにツツドリが加わって、森の歌合戦が始まった。
栃の花 林道の雪
 小ズッコから大ズッコへ続くブナの森は新緑におおわれ、元気なブナのエネルギーが伝わってくる。何度もなんど
も深呼吸をする。気持ちがいい。花は終わったのか、柔らかい棘に包まれた実がたくさんなっている。イタヤカエデガ
赤い花を下げている。チゴユリの花は、恥ずかしそうに下を向いている。ユキザサはもうすぐ花を咲かせるだろう。サン
カヨウが満開だ。思わず、♪サンカヨウやキヌガサソウが〜♪と、山遊歌を歌い出す。
 チゴユリ サンカヨウ
 「ブナは役にたたへん木らしい。」「でも、今は疲れた私たちを癒してくれる。」そんな会話をしながら歩く。
長い風雪をを耐え、生き延びてきたブナの古木。折れてもおれても命をつなぎ、今に生きるブナたち。そんなブナの
森にいると、生きる勇気がわいてくる。忙しさに心をすり減らす日々。ブナはそんな心を癒してくれる。
雪で倒れたタムシバが白い花を咲かせている。こんなになってまでも花を咲かそうとするのか。ブナの緑の中で白さ
がひときわ目立つ。
ブナの森 たくさんの花をつけたタムシバ
 ブナの森を抜け、鳥取側の展望所に立つ。今日も展望はない。鳥取方面は霞んでいる。しかし、扇ノ山3回目の今
日がいちばん天気がよい。
 展望所から頂上はすぐである。いつものように靴を脱いで2階におじゃまする。荷物を下ろし無線機をつけてみる。か
すかにOAPさんの声が聞こえる。なんと、扇ノ山へ向かっておられるのだ。OAPさんは、まだ小ズッコの登山口のよう
だ。いそいで登ってくると言われたが、その通り、50分ほどで小屋に現れた。
 OAPさんと無線や山の話をしていると、いつの間にか時間が経っていた。気がつくと2時間も話していた。
避難小屋から氷ノ山を望む(奥)
 避難小屋は快適なのでいつもつい長居をしてしまう。きれいにそうじをし、小屋をあとにする。OAPさんと父たぬき
は何話しているのか、私は少し後を歩いていく。ぶなの林を歩く二人のすがたはこの森にぴったりだ。落ち着いたこ
の森はなんど来ても飽きるということはない。
 1時間ほどで小ズッコ登山口に到着。ここでOAPさんとお別れし、帰路についた。
ぶなの林を歩くOAPさんと父たぬき