落ち葉ふみしめ 親不知からクロイシ山
兵庫丹波 市島町 



  11月最後の週末、台風や気圧の谷通過で天気が悪い。朝起きると昨日来の雨がやんでいる。
この季節としては気温が高いので小雨程度なら歩けそうだ。車1台を市島町上鴨阪の五台山登山
口に置き、もう1台で大原神社へと向かう。大原神社は集落からかなり上がった山腹にあり、安産
の神様で樅の木が社叢なしているそうだ。集落から神社への車道をゆっくり上がっていくと、軽トラ
が停まり、溝掃除をしておられる。神社まで上がると、女性が落ち葉を掃いておられたので、親不
知への道を尋ねる。社殿前で掃除をしていた男性が「道はわかりにくいで。」とのこと。心配そうな
表情の女性に挨拶し、無線機、デジカメ、帽子、手ぬぐい、ストックのいつものスタイルで出発する。

  歩き始めると、社殿の右裏に赤テープと大柿布が暗い植林の方向を示している。神社裏の尾根
にとりつき、急な尾根をジグザグ登っていく。共同アンテナから南側が展望でき、鷹取山や小野寺
山が正面に見える。30分ほどで福知山市(京都府)と市島町(兵庫県)の境界尾根に出る。祠でも
あったのか、一段低いところに数個の石が並んでいる。帰って「兵庫丹波の山」(慶佐次盛一著)を
開くと、そこには朽ちかけた祠があったそうだ。その祠はいったいどうなったのだろうか。
  祠跡のすぐそばに親不知まで0.5kmと標識がある。登山道は最近整備されたのか、きれいに
切り開かれ非常に歩きやすい。ちょっと急な斜面には木の階段もつけられている。
 
大原神社 テレビアンテナから鷹取山(左)雲をかぶった小野寺山(右)

  ときどきガスがかかるが、雨は降ってこない。親不知の小さなとんがりを登ると市島町側が切り開
かれた山頂(604.6m)に飛び出た。あいにくの天候で遠望はできないが、晴れていればすばらし
い展望が目の前に広がることだろう。正面にアンテナを乗せた高谷山(横峰山)が横たわっている。
大杉ダムから登山道が整備され、東側の尾根を経由して山頂に至る道があり、その案内板もあった。
木のベンチに座って甘納豆でエネルギー補給。北からの風が大きく木を揺らして通り過ぎていく。
 
親不知頂上 親不知から正面に高谷山を望む

  山頂には五台山への標識がある。この分だと鴨内峠まで登山道が整備されているかもしれない。
少し休んでクロイシ山へ向かう。途中で大杉ダムと大原神社の間の支尾根を下りかけ、また登り返
して境界尾根に戻るというおきまりの迷走はあったが、あとはよく整備された広い尾根の道を軽快に
歩く。鞍部で2度ほど鹿の家族連れに出会う。「おーい、鹿除けネットに引っかからないでねえ。」
 
イノシシを捕る? 落ち葉踏みしめ・・・

  尾根の少し広くなったところにはイノシシを捕獲するのか檻が置いてある。呼び寄せるための餌
は何も入っていないので、この檻では捕れそうにないな。
  無線に猟をしている人の声が入ってくる。クロイシということばが聞こえたので、どの辺で猟をし
ているのか尋ねてみる。クロイシ山はこれから向かうところである。クロイシはくろいしでも今田町
の黒石ダムだった。一時はドキッとして足も重くなったが、こちらのクロイシでないとわかると足ど
り軽くなった。

  登山道には親不知までの距離を0.5kmおきに知らせてくれる道標があり、親不知からだんだん
遠ざかり、数字が増えていくのでクロイシ山に近づいていることを感じさせる。
  概ね、市島側は植林、福知山側は自然林。落ち葉を敷き詰めた道は気持ちがいい。天気がよけ
れば最高なんだが贅沢は言うまい。
0.5kmおきに標識 クロイシ山への登り

  クロイシ山直下に切り開きがあり、鷹取山、五台山が展望できる。霧雨に霞んでいる。最後の階
段を登りクロイシ山へ。氷上高年低山会の道標が迎えてくれる。懐かしい人に出会ったようでうれし
い。山頂(555.9m)は以前に比べきれいになっている。テープがたくさんつけられていたように思
うが、記憶が確かではない。親不知の三角点(三等)はあちこち欠けていたが、比較的新しいのか
きれいな曼田良四等三角点がちょこんと座っている。クロイシ山は五台山から連なる中央分水界の
山で北の穴の裏峠へと続いている。
  霧雨が時々風に流されてやってくるがそれほど強くないのでここでお昼にする。濡れた地面には
座れず、立っておにぎりをほおばる。
 
クロイシ山頂上 鴨内峠(クロイシ山から階段を下りてきた)

  予報ではお昼頃には晴れマークが出ていたが、逆にますます天気が悪くなっていく。長居は無用
だ。風が吹くと枝からしずくがパラパラと落ちてくる。少し南の伐採地に出ると北から雨の帯がやって
きた。慌ててデジカメと無線機をザックにしまう。幸いにもそれほど強くはならず鴨内峠に下りたとき
にはほとんど止んでいた。

  クロイシ山から25分で鴨内峠に下りたつ。久しぶりの峠は何となくすっきりしている。クロイシ、親
不知方面へは木の階段、低山会の道標。そのかわり輪切りの板の案内板は朽ちてしまっている。
峠から五台山はすぐだが、晴れる様子もないのでつづら折れの道を上鴨阪へ下る。
「あっ、お地蔵さんあったかなあ?見るの忘れてた。」
だいぶん下りてから峠のお地蔵さんのことを思い出した。
    
上鴨阪の五台山登山口 大原神社のイチョウ
 
  暗い植林の中から上鴨阪の五台山登山口に出ると、ポツンと私の車が待っていた。こんな天気の
日には五台山に登っている人なんてないやろね。
  狸穴の水を柄杓一杯頂戴する。おいしい。弘法大師さんにあいさつし、大原神社へと向かう。朝は
清掃の人たちがいたが、今はひっそりと静まりかえり、風と鳥の声しかしない。はらはらと黄色い雪
が・・、と思ったら無数のイチョウの葉が風に飛ばされていく。季節は秋から冬に向かっている。急な
石階段を登って社殿にお参りし、無事帰着したことを報告して神社をあとにした。

○上鴨阪の五台山登山口から大原神社(市島町徳尾)まで、徒歩ではかなりかかります。
○大杉ダムから親不知まで登山道が整備されています。



行った日 03 11/30(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 大原神社8:55〜主尾根9:25〜親不知9:35ー9:50〜
クロイシ山11:45〜12:05〜鴨内峠12:20〜
上鴨阪登山口12:40
2.5万図 福知山西部 黒井