千石山から駒ヶ岳へ
福井 小浜市
、「千石山」という山の名前を知ったのは数年前。小浜線の上中駅の南にそびえる山だ。三十三間山や三重嶽
へ行く途中、車の中からいつも眺めていた。駒ケ岳と尾根続きで、7月に駒ケ岳の山頂でも千石山へのテープを
見て、いつか歩きたいと思っていた。地図は早くから準備し、その日を待っていた。ようやく千石山へ行く日がや
ってきた。

 舞若道小浜西ICまで走り、小浜市街を抜け、明通寺・池河内方面へ向かう。途中には、四分一や三分一、門
前といった集落があり、明通寺と関係があるでは、と話しながら走る。明通寺はずいぶんまえに来たことがある
はずだが、すっかり忘れている。最奥の集落が池河内(いけのこうち)で、静かな落ち着いた村である。集落を
抜け、さらに奥へ走って、川が合流している地点に車を置く。
 
橋の向こうに見える看板あたりから取りつきます 急な尾根

 ここが千石山へ続く尾根への出発点である。どの支尾根も急で、いちばんなだらかな尾根を選んだが、かな
り急なところも。たちまち汗が流れ落ちる。今年の猛暑の中では登れなかっただろう。

 かなり急な所もあり、ジグザグに登りやすいところを見つけながら登っていく。木の間から見える山々はまだ
ガスがかかっている。頭上は青空が覗いている。晴れてくるといいけど・・・。
千石山への尾根 千石山へもう少し

 登り始めてから50分で千石山から西に続く尾根に合流する。ここからはそれほど急な所もないし、踏み跡
があるので歩きやすい。支尾根からあった境界杭のためのPPロープの印もまだ続いている。

 緩い谷を左に見て、急な斜面を登る。千石山へ近づくに従い、いい雰囲気になってくる。
 
千石山 千石山から駒ヶ岳へ

 なだらかな尾根を歩き千石山へ到着。なだらかな山頂(682.4m 二等三角点 点名日笠村)だ。黄色い
テープに、「駒ヶ岳 上中駅」とある。「上中駅」は天徳寺へ下りる道だろう。麓を走る国道からの音が聞こえる
山頂でおやつを食べ、駒ヶ岳へ向けて出発する。
尾根はガスっています 北側は植林の尾根

 尾根にはガスがかかり、何ともいい雰囲気。が、このままずっとガスがかかったままでも困る。
 しばらく、尾根の北側が植林、南側は自然林が続く。
三宅林道への分岐 分岐のテープ

 千石山から35分ほどで三宅林道への分岐に着く。黄色いテープが、東は若狭町三宅に至る道と駒ケ岳の
道を案内している。

 そのすぐ先がCa660。小憩後、再び駒ヶ岳をめざす。
いい感じ いい感じ

 Ca660からは尾根の両側が自然林で、ブナも多くなる。「いいなあ。」と何度も言いながら緩やかな尾根
を歩く。籔や倒木があると歩きにくいだろうな、と案じていたが、とても歩きやすく歩行が捗る。

 我々の仲間の間で、「かねちゃん好み」とよく言う。かねちゃん好みの谷や尾根があると、決まってその
ことばが出る。今回もそんな谷や尾根が続く。

 鹿が仲間に我々のことを知らせている。花もなく、ブナの黄葉にはまだ少し早いが、すばらしい尾根がそ
の代りをしてくれる。

 ときどき立ち止まり、コンパスや時計の高度計で場所を確かめる。P642、647を過ぎ、駒ヶ岳への少しず
つ高度を上げていく。Ca740への登りで振り返ると、まだガスのかかる千石山と歩いてきた尾根が目に飛び
込んでくる。
 苔が多くなり、日本庭園のよう。
駒ケ岳が近付いてきました もうすぐ駒ケ岳

 行く手に駒ケ岳が近付いてきた。もう少しで到着だ。広いゆるやかな尾根には大きなブナが迎えて
くれる。3か月ぶりの山頂は同じように静かだ。しばらくして、反対側から男女二人が到着。
駒ケ岳 栗おこわ

 明るい空間が目の前に現れたら山頂である。7月はとても暑かったが、今日は風が吹くと寒いくらいだ。
まだ雲はすっかり晴れず、低い雲が垂れている。真正面に見える三重ヶ嶽や三十三間山のガスがようや
く晴れ。なだらかな山々が広がる。双眼鏡で覗くと、琵琶湖には船が見える。伊吹山は8合目付近から上
がまだ雲の中。
 さて、お昼にしよう。今日は、昨日のお祭の栗おこわ。おいしいねえ。
駒ヶ岳から武奈ヶ嶽方面 高島トレイルを木地山峠方面へ
 無線で矢問(JN3LNW)さんを呼んでみる。何度かコールしたあと、これで最後にしよ、と思って呼んでみると
聞きなれた矢問さんの声が無線機から聞こえる。段ヶ峰からフトウガ峰に戻り、だっちゃんとこれから昼食と
か。あちらもあまり天気はよくないようだ。

 しばらくすると、黒い雲がやってきてパラパラと雨が落ちてくる。雨雲の一団が西から東へ通り過ぎていく。
雨は案じたほど降らず、すぐにやみ、青空が雲の間から覗いている。昼食中のお二人にあいさつをし、山頂を
あとにする。

 木地山峠への道標から県境尾根を西へ歩く。初めて歩くところだ。
「いい尾根やねえ。」
こんな尾根ならいつまでも歩いていたいね。
百里ヶ岳が大きい ここが尾根の分岐
 駒ケ岳から20分ほど歩くと、中小屋への分岐である。

 分岐を過ぎると、尾根のすぐ南、木地山側に林道が上がってきている。今は使われていないようだが、
地形図の破線の道だろうか。展望が開け、百里ヶ岳のどっしりとした山容が目に入る。あそこまで歩いて
みたいね。木地山側からなら周回できそうだ。

 中小屋への分岐から数分で池河内への長い尾根への分岐である。黄色いテープが分岐であることを
教えてくれる。当初は林道を下りるつもりだったが、同じ歩くならと尾根の方を選択。黄色テープから北
の尾根を歩く。
こちらの尾根もいいねえ 東に千石山

 ゆるやかな尾根が北へ続いている。ここもブナが多い。
「林道を下りずにこちらを選んでよかったねえ。」
 P660までは黄色いテープが続いている。いつの間にかなくなり、ちょっと不安になるが、尾根をはずさない
ように歩きさえすれば、車を置いたところへ下りるはずである。

 P611付近はユズリハが多く、籔状態。ユズリハをかき分けながら進んでいく。そのうち歩きやすくなるよ、と
いつもお気楽たぬき。予想通り、ユズリハはなくなり、また歩きやすい尾根になる。
 木の間からは千石山が谷を隔てて近くに見える。すっきりとガスが晴れ、長い尾根を広げている。。
 
 どこからか赤テープが現れる。
「県境尾根からあったのかなぁ?」
林業テープでも境界を示すテープでもない。山歩きの人が付けたものだろう。尾根には青いPPロープを結び
つけた印も現れる。千石山への登りで見たものと同じだ。
お気をつけて あと少しで下山完了

 P456を過ぎたあたりで、向こうから人がやってくる。
「!!」
こんなところで人に出会うとは!どちらもびっくり!手に袋を下げておられ、中には杭が入っている。
「印の付いているところに杭を埋めているんです。」
森林組合の方だそうで、植林されところとの境を歩いておられるそうだ。お互いに、お気をつけて、
と言って別れる。杭はP428あたりまで続いていた。

 尾根は細くなり、東側は植林となる。最後は急斜面を慎重に下りる。下りたところは車から5mも
離れていない。
「あら、どんぴしゃやったね。」

 靴を脱いだりしていると、池河内から地元の男性が歩いて来られる。歩いてきたコースを説明すると
驚いておられたが、千石山のことはあまりご存じではなかった。
 
 念願の千石山から駒ヶ岳を歩け、満足感に浸りながら帰路に着く。久しぶりによく歩いたね(^^)

行った日
行った人 たぬき二人
山行タイム 駐車地7:15〜尾根合流8:05〜千石山9:05ー9:13〜三宅林道分岐9:50
−10:00〜駒ケ岳11:10〜11:50〜中小屋分岐12:07〜支尾根取りつき12:15
〜駐車地14:15
2.5万図 遠敷 古屋 山行地図
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