狸穴から五台山
兵庫丹波

 GW後半、4連休の初日は、島田さんの提案で五台山に行くことになる。五台山の登山口は、氷上町側(香良)
市島町側(上鴨阪)だが、今回は上鴨阪から登るというものだ。が、島田さんのコーディネートなので一般登山道
を歩くわけはなく、狸穴経由という未知のコースを歩く予定である。

 「狸穴」の名称は、香良側から登ると、小野寺山と五台山山頂の鞍部にあるプレートで初めて見た。あれから何
年経つだろう。また、上鴨坂登山口には狸穴の水があり、水くみに来る方も多い。知り合いの中にもコーヒーを入
れるときは必ずこの水を使うという方もある。
 が、本当の狸穴はここではなく、山中にあるようで、地元の人もあまり行かないようだ。以前尋ねたとき、どこに
あるのかわからないと言われていた。

 今回のコースは、この狸穴を探し、五台山山頂へ。そして、先日島田さんがwithMTBで歩かれた東尾根を下り
ようというものである。
 狸穴は見つかるのだろうか。藪こぎ覚悟のショートコースオフである。
新車の展示会ではありません 是より○○○mの標識

 9時半に市島町役場集合だが、買い物など諸々の用事があるので、早めに家を出る。途中でQLV松田さん、床
尾山への途中のTQF是兼さんと無線で交信。QLVさんを無線で誘導しながらコンビニに入る。ここで、松田さん、
島田さんと合流。

 市島町役場には、すでにみやびさんが来られている。ほどなく、かねちゃん到着。あれれ・・、参加表明のなかっ
た笹倉さん登場。そんな気がしたんや。私の勘もよう当たるもんやね。赤いフォレスターの佐竹さんも来られ、総勢
8名。

 車を登山口の駐車場に置く。7台がずらっと並ぶと壮観である。下山予定地からここまで距離がありそうだが、車
はまわさず、ここまで歩いて帰ることにする。

 上鴨阪の登山口から少し歩いたところに五台山登山道の案内板がある。そのすぐそばに左へ入る道があるので
その道を入っていく。笹倉さんが「へび」と言って、棒で放り投げている。長いものの苦手なかねちゃんは冷や汗も
のだっただろう。

 ほんの数分歩いたところには、「是より1500m」の金属製の標識。五台山頂まで1500mということだろう。「こ
んなんあるん?ちょっと拍子抜けやぁ。」「これ、鞍部ある狸穴の標識と同じ材質や。」と島田さん。「ほんまや、藪こ
ぎ、道なき道を楽しみにしてたのに。」

 谷に沿った道ははっきりとしている。苔むした石の間を清らかな水が流れている。この谷の源頭が狸穴ではない
だろうか。そんな期待を持ちながら標識に沿って歩いていく。
 谷に沿った道を順調に歩いてきたが、「是より900m」地点から道がなくなっている。道はないが、なんとか谷を
歩けそうなのでそのまま谷を詰めていく。
 
狸穴 前山(さきやま)水道組合の石碑

 先頭を行く島田さんが、突然「何かあるぅ。石仏やぁ。」「えー、せきぶつぅ?」
それまで静かだったオフ隊は、俄然活気づいてきた。最後尾をゆく私もその石仏へと心が急き、足も速くなる。
「狸穴やぁ。」(島田)
 石仏と思われていたものは、上の写真のような石碑で、「前山(さきやま)水道組合」と裏書きしてある。
 「霊水狸穴」 これぞ、ずっと焦がれていた狸穴なのだ。予想したとおり谷の源頭となり、清冽な水が小さな穴か
ら湧き出ている。五台山の湧水だ。手ですくって一口飲んでみる。くせのないさらったとした水だ。
 
 狸穴の発見に気をよくしたオフ隊は、谷の左側を上り、再び現れた標識に従って広い谷を歩いていく。芽の出た
栗を囲む男たち。なんとやさしい集団か。

 「ここが東尾根のはじまり。」と鞍部のすぐ手前で島田さんからの説明。うーん、わかりにくいところやなな。大柿
さんの布がひらひらしている。
 
 
小野寺山 五台山の鞍部 鞍部にある狸穴へ標識

 狸穴から25分で香良登山道との合流地点(小野寺山と五台山の鞍部)にたどり着く。そこには、上のような標識
がある。この「狸穴を至て」が気になっていたのであるが、今回ようやくその謎が解けた。

 時間が早いので、ちがう道から行きましょう、と山頂を市島側にまいている道を北に歩く。しばらく歩くと鴨内峠か
らの道と合流。鴨内峠から歩くとき、こんな道に気付かなかったが、さすが島田さんである。
鹿に食べられたのかな? 山頂展望台で同定する3人

 鹿か何かが食べたのだろうか、シダの先がなくなっている。付近のシダのほとんどがそういう状態だ。柔らかい
内に食べてしまったようだ。動物たちもおいしいものをよく知っているものだ。

 11時15分、誰もいない山頂に立つ。案じられた天候もまずますで、霞んでいるものの多紀アルプス、千が峰、
粟鹿峰、大江山等を見ることができた。恒例集合写真を撮り、昼食タイム。
 大和葛城山移動のOAPさんをコールすると、西床尾山のTQF是兼さんと繋がる。風が強く寒いらしい。1時間ほ
ど山頂で憩ってから、東へ歩かれるらしい。
 氷上町側の香良を見ると、実家の庭にこいのぼりが泳いでいる。田には水がはられ、田植えも間近のようだ。お
正月以来顔を見せない親不孝な娘を親はどう思っているだろうか。
 ツツドリがポンポンとうたい、のどかな雰囲気だ。

 お昼時になると登山者が多くなってきた。人が多くなる前ににぎやかな集団は退散するとしよう。

 
ガマズミ? 鉄塔に続く巡視路

 鞍部に戻り広い谷を少しだけ狸穴の方へ戻るが、すぐに右の尾根らしき方へ進路変更。植林の中に大柿布がゆ
れている。尾根はまっすぐ続いているがそのままいくとまちがいだそうで、比較的広い谷を下りていく。谷を下りた
ところの少い平らなところにそこだけ落葉樹が数本茂っている。「IRCさんにこれを見てほしかったんや。」という島
田さんのことばで木のそばに寄ってみる。柔らかい葉は特有の匂いを発している。つぼみができているが何の木
かわからない。
 その辺りは広場のようになっていて、寺跡のようにも思える。

 展望のない尾根を歩いていく。右の乙河内側は植林、左の前山側は雑木。藪もなく当初の予想よりずっと歩きや
すい。右の木の間から頂上の木が少し伐採された鷹取山が見える。三角の尖った山容はどこから見ても同定しや
すいが、この角度から見るのは初めてだ。市島町美和地区がハイキングコースを整備しているということだが、その
ための伐採だろう。

 迷いやすい尾根も島田ナビゲーションで難なく歩き、およそ50分で葛原山三角点に着く。尾根道から少し外れて
いるので、教えてもらわないと見逃してしまうだろう。

鉄塔から鷹取山(尖ったピーク) 葛原峠から下る

 鉄塔も近いので尾根道も巡視路となり、広い道が鉄塔まで続いている。風が強く、木がゆれて木漏れ日もゆれる。
鉄塔は葛原山からすぐのところにある。南西に谷を隔てて鷹取山。北東には横峰山。風が通って涼しい。

 鉄塔で小休止し最後のピークをめざす。鉄塔から先は巡視路もなく、枝の張りだした少し歩きにくい道となる。
 Ca320mピークは間伐され、歩きやすい仕事用の道がついている。葛原峠までほんの数分で下りることができた。
尾端までは植林用の仕事道が何本もつくられ、昔からの峠道はどれなのか判然としないが、どの道をとっても下りる
ことができそうだ。
 
 峠からの道を下りたところに車の轍がある。4WDの軽トラックで仕事に来られたのだろう。その辺りから道に古畳
が敷いてあり、それが腐って靴が沈むほどになっている。靴がドロドロになるのを避けながら慎重に歩いていく。
 
クレソン 里に下りて登山口へ

 下山開始から1時間50分、尾端の猪柵ゲートをでる。案じられた天候も崩れる様子もなく、かえっていい天気にな
ったようだ。ここから車を置いた登山口まではかなり距離がある。
 道ばたの花を見たり、イタドリを試食したりしながらのんびり歩く。大人8人がぞろぞろ歩いている姿は滑稽に見え
るだろう。舗装路歩きは山歩きの数倍疲れる。その上、島田ギャグで疲れは倍増。と言いながら、楽しく歩くことが
できた。
 ゲートから1時間かかり、ようやく登山口へ。輪になって今日の反省会をして解散となった。
 
 島田さん、今回もナビゲーター、ありがとう。ご参加のみなさん、楽しかったです。(

  

行った日 02 5.3(金)
行った人 かねちゃん、笹倉さん、佐竹さん、島田さん、松田さん、みやびさん
たぬき二人
コースタイム 上鴨阪登山口9:50〜狸穴10:35〜香良登山道合流(鞍部)11:00
〜山頂11:15ー12:15〜葛原山三角点13:05〜鉄塔13:15〜
尾端(猪柵ゲート)14:05〜登山口15:05
2,5万図 黒井