桜の精に魅せられて 知見とんがり山
兵庫 日高町


大桜は生き続ける


 「但馬ハイキング」には、とんがり山が二山紹介されている。そのうちの一つ、日高町と旧八鹿町
境の知見とんがり山が今日の山。
 円山川右岸道路を旧養父町付近を走っていると、正面に尖った山が見えてくる。以前からここを
走るたびにこの尖峰が気になっていた。

 やまあそ島田さんやまごさんが行くというのでお連れにしてもらう。
 養父道の駅に集合。島田さん、やまごさん、一年ぶりにお会いする笹倉さん、そしてやまごさんの
お友だちのSさんの五人で知見へ向かう。
 Sさんと私は島田さんの車に乗せてもらう。車中、早々と島田さんのだじゃれが炸裂する。初めて
お会いしたSさんは島田ギャグに免疫がないので大うけだった。

 伊府で阿瀬渓谷方面に左折する。
「あっ!デジカメ忘れたっ!」 
ああ、今頃デジカメは車の中で朝寝中かぁ。がっくり。途端に気力も食欲もなくなってしまう。

 知見川に沿って村に入る。正面にとんがり山が見える。でも、ここから仰ぎ見るとんがり山は尖っ
てはいない。どちらかというと山頂は平坦である。見る角度によってこうも印象が違うものなのか。
しかし、知見ではとんがり山と言われているらしい。八鹿町側では「天割(あまわり)」と呼ばれてい
ると橋元さんは書いておられる。(点の記には、三角点の住所が「あまわり」とある)

 

 公民館前に車を置かせていただく。やまごさんに「画像を提供してね。」とお願いすると、「ぼくのデ
ジカメを使ってください。」と貸してくださる。(^o^) 沈んでいた心が一転。ありがとう。
近所のおじいさんがやってきて、明日は登山大会があると教えてくださる。Sさんから舞鶴のおいしい
シュークリームをいただき、エネルギー補給して、さあ出発!
知見 蓮臺寺観音堂の左裏から 八十八カ所霊場にはショウジョウばかま7いっぱい
 島田さんが但馬ハイキングを見ながら登山口のお寺を探す。近くの女性に尋ねると、すぐ近くだっ
た。
「桜を見にいきんさるんか。」と親切に教えてくださる。
 蓮臺寺の観音堂の裏手から続く四国八十八カ所霊場の石仏道を歩いていけば登山口に行けるら
しい。
 自称石仏研究家の島田さんの解説を受けながら、石仏道を歩く。先日の内山寺〜鷲原寺と違い、
お大師さんと石仏がきちんとペアになり、番号順に並んでいる。ここのは舟形後背でなく、ひさしのあ
る珍しい後背だと島田さん。作られた年代が異なるのか、お顔の表情がちがっている。
 ショウジョウバカマが花盛り。下を見るとコンクリート舗装路が見える。神社まで続いているという。
八十八カ所霊場の石仏を見る ここが登山口
 やがて石仏道は未舗装の林道に合流し、登山口までその道を歩いていく。登山口には車が二台。
親切に登山用の杖が置いてある。植林の中に、まだ開いていないミヤマカタバミ。
 「知見の大桜」という看板が立つ登山道を登っていく。
 しばらく少し急なつづらおれの道を登るが、やがてなだらかな植林地となる。段々になっているので
昔の隠し田があったのではないかと思われる。かなり広いところだ。段がとぎれる辺りに分岐がある。
地形図のそこから西の向かい、森山に下るようになっているが、我々は南のとんがり山へ向かう。
谷の岩に咲くミヤマカタバミを写す面々 春の日をいっぱい浴びて

 いったん下り、谷に沿って登っていく。いろいろな春の花が咲いている。すべては書けないが、エン
レイソウの緑が瑞々しい。ミヤマカタバミも開いている。谷の岩にへばりついたものを撮影に下りる
面々。やまごさんと私はそれを上から見ている。大桜まではそれほどかからないので、いろいろな花
を撮影しながらゆっくりと登っていく。

 公民館から1時間半で大桜に到着。谷の一番奥に突然現れる。樹齢200年の古木は枝をもぎ取
られながらも山の中で黙々と生き続けている。そして、春になると花を咲かせている。木の周りには
ロープが張り巡らされ根が保護されている。急斜面のガレ場にどっしりと根を下ろしたその姿に言い
しれぬ感動を覚える。
 狭い谷の中では木の全体を撮影することが難しい。少し上に行くと神鍋高原をバックに大桜の左
半分が春の日に映える。腰を下ろし、桜に見入る。
展望岩から知見を見る 展望岩側からとんがり山を展望する
 桜を見ながら萬屋さんたちを待つ。展望岩はすぐ上なので、登って待つことに。谷からやせ尾根に
よじ登ると東側からポンポンという声、今年初めて聞くツツドリののどかな啼き声。
 展望岩からは北側の展望がよい。霞んでいなければ日本海も見えただろう。正面に大岡山がなだ
らかに尾を引いている。
 ここで昼食をとる。無線機から聞き慣れた声が聞こえる。午前中会社に出ていた父たぬきが春日
町モービルでCQを出しているのだ。コールしてみたが届かなかった。こんなところにまで電波が届く
とは・・。(@_@)
 食べ終わった頃、萬屋さんとお友だちが到着。汗をいっぱいかいておられる。笹倉さんから飲み物
の差し入れ。私は、リポ○○ン Dをいただく。笹倉さんの元気の元はここにあったのか。(^o^)

 ちょうど、12時。萬屋さんたちにあいさつをしとんがり山に向かう。頂上まではすぐなのだが、直下
は急傾斜の植林帯となっている。その上、ドロドロで登りにくい。

 ズルズルと滑りながら登ると、とんがり山頂上(589.9m 二等三角点 点名小佐)。杉に囲まれ
展望はない。無線機から大杉山移動のTQFさんの声が聞こえたので、お互いの情報を交換する。

  
こんな木もありました クロモジの若葉
 とんがり山をあとにし、尾根を北西に歩いて572mピークをめざす。鹿がよく歩いているのか足跡
が多い。人はあまりは行っていないが、鹿の踏み跡があるので、わりと歩きやすい。
 
 
とんがり山から西に向かう尾根から572mピークを望む 572mピーク中腹から望むとんがり山
 鞍部の手前でこれから向かう572ピークがきれいに見える。これも形のいい尖峰だ。登り返しがき
つそう。北斜面は桜のピンクで覆われている。あの桜の下を歩いてみたいね。
 鞍部に下りると、日高町側と旧八鹿町側に道がある。昔の峠だろう。あとで聞いたところによると、
森山峠というらしい。森山はこの峠を日高町側に下った集落の名だ。

 鞍部からの急登を春の日ざしを浴びて登る。途中で少し平坦なところがあり、ここからの展望がす
ばらしい。振り返るとさっきまでいたとんがり山。南には歩いてみたい尾根、その肩にまだ雪の残った
妙見山も見える。それにしても暑い。
 ここからまた急斜面を登る。笹をかきわけ登っていると、少し後ろのSさんの、「○○、ちょうど見頃」
の声。後戻りして見てみると笹の中に可憐な花を咲かせている。撮影したがピントが合っていなかっ
た。(-_-)

 572mピークは笹と雑木の明るいピーク。
「とんがり山よりここの方がいいなあ。」
やまごさんはタオルを絞っている。

572mピークから北尾根を下る 桜の尾根
 572ピークから北尾根を歩く。ここもあまり歩かれていないようだ。しかし、少し下るとCa500m付
近から満開の山桜で景色が一面ピンクとなる。
「きれいねえ。」写真を撮りたいが、周りの木に遮られて全体を写すことができない。桜の続く尾根は、
まさに「桜の尾根」というにふさわしい。

 藤の蔓や茨に引っかかりながら尾根を下っていく。イカリソウ、ヤブレガサなどが無造作にある。
 Sさん、笹倉さんのSSコンビはずんずんと下って行かれる。のんびり3人組は、撮影としゃべりに忙
しい。

 尾根を最後まで下ると時間がかかりそうなので、263mピーク手前の鞍部から下ることに・・。幸い
東への道を見つけたので谷沿いに下りていく。

 鞍部から15分で道に出る。出たところの道標には、右不動尊、左森山ダム とある。南(森山ダム
方面)へ辿ると、先ほど歩いてきた森山峠に行けるようだ。

 のんびりと森山集落を歩く。公民館から車で出てきた男性が我々に声をかけてくる。地図を見せ、
今日のコースを説明する。572mピークのな前を尋ねると、「森山のナル」と言われた。ナルとはな
るい(平な)所のことだろうか。最近は地元の人でもあまり山に入らないらしい。

 林道に出てから40分で知見公民館。朝であったおじいさんが畑仕事をしながら笑顔で迎えてくれ
る。萬屋さんたちもほどなく帰ってこられた。

 里の桜もいいが、人知れず山で咲く桜は優しい気持ちにしてくれる。今日であった桜や草花がいつ
までも咲き続けることを願わずにはいられない。


出会った草花
エンレイソウ フキノトウ
ヤマエンゴサク ミヤマカタバミ


行った日 04 4/10(土)
行った人 Sさん、天々宇知栗さん、島田さん、やまごさん、たぬき
山行タイム 知見公民館9:10〜登山口9:50〜大桜10:40ー11:15〜
展望岩11:20−12:00〜とんがり山12:10〜森山峠12:35
〜572mピーク12:55〜263mピークの鞍部14:00〜林道
14:15〜公民館14:55
2.5万図 栃本