初秋の栂池自然園〜天狗原に遊ぶ
長野県小谷村

天狗原(てんぐっぱら)から白馬乗鞍方面

 今年も恒例の幸風会トレッキングに誘っていただき、参加させていただく。毎年顔を合わせる方が心やすく話しか
けてくださる。

 今年の行き先は、長野県小谷村(おたり)栂池高原。名神は事故のため通行止めというニュースに、舞鶴・敦賀
経由、名神〜中央道で豊科まで行く。車中から南アルプスや中央アルプスの山々が見えないかなと楽しみにして
いたが、あいにくガスがかかっている。
 
ガスに煙る常念岳(左) 大王わさび園

 途中で大王わさび園を見学する。こちらの方にはなんどか来たことあるが、ここを訪ねるのは初めてだ。山裾にあ
るのかと思っていたら。周囲に住宅地や田がある平坦なところにあり意外だった。安曇野を流れる清冽な水を利用
してたくさんのわさびが栽培されていた。
 西には、常念岳から北に続く山々がガスの中に見え隠れしている。天気がよければすばらしい景色なのだが・・。
路傍には仲よく寄り添った道祖神が我々を見送っている。

 国道147号線を大糸線に沿って北上する。10年前、同じ道を運転したことを思い出した。あのときは山を見る余裕
なんて全くなかったなぁ。学生に戻ったあの1年が懐かしい。
 バスは、木崎湖、青木湖の畔を走り大町に入る。白馬岳も雲の中。ほんの一瞬だが、雪渓が確認できた。

 小谷村千国で147号線と別れ栂池高原に入る。スキーシーズンにはスキーヤーやボーダーで賑わうだろうが、登
山者や観光客が訪れるものの、今は冬ほどのにぎわいではないようだ。

 さて、宿泊したホテルの夕食には、グルメのたぬきもぐるぐる目が回るほど驚いた。(@_@)
 葛の花、アカツメクサ(ムラサキツメクサ)の花の天ぷら、バイカモのお吸い物・・・、
「これって、レッドデータブックものですよ!」
バイカモと聞いて、思わず叫んでしまった。
 
 ゴンドラリフト(6人乗り) 白樺の林

 2日目の朝、家にいるのと変わらず、4時半頃に目覚める。ホテルの屋上から戸隠方面にご来光を見ることができ
るというので、同室の人たちと屋上に上がってみる。空はほんのりオレンジ色。霧がベールのように山を越えていく。
デジカメを持ってこなかったのが悔やまれる。ご来光を待ったが、雲が覆ってしまい見ることができなかった。

 7時過ぎ、ゴンドラリフトに乗る。片道20分。眼下にはスキー場。高度が上がると、すばらしいパノラマが広がる。
高所が苦手な人は、ちょっと怖そうだ。

 途中で、ロープーウェイに乗り換え、栂池自然園ビジターセンターへ。
 標高1800mくらいなので風は冷やっとしている。参加のみなさんと記念撮影をし、集合時刻まで自由に散策する。

 自然園を散策してもいいが、山へ来たらやはり登ってみたい。案内板には、天狗原までは90分とある。行けない
コースではない。数人の方たちと天狗原を目指す。
 石がゴロゴロした歩きにくい道だ 。「オーバーペースやで。」という父たぬきの声を後ろに聞きながら、先行のグル
ープを追い越していく。汗がしたたり落ちる。登山道脇には大きないちごがなっている。つややかな色が逝く夏を惜し
んでいるように思える。

 腕時計の高度計はどんどん高度を上げている。ナナカマドの実が赤く色づきはじめている。急な登りが少し緩やか
になり、岩のガレ場に出る。周辺はハイマツにかわり、水のない沢のようになっている。ウメバチソウ、イワイチョウが
岩の陰に白い花を咲かせている。

 
天狗原直前のガレ場

 そこから少しだけ歩くと、木道があらわれ、天狗原に到着。天狗原は標高2200mにある高層湿原。大小の池溏が
点在する。イワショウブや小さなタテヤマリンドウが咲いている。チングルマの冠毛が風に揺れ、秋を思わせる。
 少し休んで近くにある祠のある岩場まで行ってみる。ハイマツに混じってシャクナゲがある。白馬乗鞍岳方面はガス
に覆われている。ときどきガスの切れ間から頂上らしき姿が見えるが、すぐに見えなくなる。白馬岳まで歩く人だろう
か、岩の急登を登る人が確認できる。私も一緒に行ってみたいなあ。
 岩場で無線をしている父たぬきをおいて、先に下山をはじめる。笠をかぶった父たぬきは、ガスの中ではシルエット
が「弘法大師のように見えますね。」と同行のTさんが言う。そんなええもんかなあ?
 南アルプス聖岳移動局と交信できたらしい。
 
天狗原
岩場で無線交信する父たぬき

 父たぬきを待ってゆっくり下る。濡れた岩と地面は滑りやすい。木々の間から栂池ヒュッテが見えてくる。観光客が
続々とロープーウェイで登ってくる。
 大きなザックを背負った若者二人をすれちがう。
「重たそうやねぇ。」
「それほどでもないですよ。」
二人は、白馬岳から爺ヶ岳まで歩くそうだ。気をつけて、と声をかけて別れる。今夏、剣岳から笠ヶ岳まで縦走された
石原夫妻もこんな荷物だったんだろうな。北アルプスをのんびり縦走できたらどんなにいいだろう。
 自然園を散策する。ミヤマトリカブト、オヤマノリンドウ、サラシナショウマなど秋の花が満開だ。
 おべんとうを食べ、栂池高原まで下り、ロープーウェイのすぐそばにある温泉で汗を流す。

 逝く夏を惜しむようにゼミが鳴き競っていた。

 幸風会のみなさんお世話になりました。来年も楽しみにしています。(^^)/

 栂池で出会った花々 はこちらをご覧くださいね。

行った日 02 8.24(土)〜25(日)
行った人 幸風会のみなさん、たぬき二人
山行タイム 栂池高原7:00・・・リフト・ロープーウェイ・・・栂池自然園ビジターセンター7:45ー8:20〜
天狗原9:10ー9:40〜栂池自然園10:35