黒井城山は、戦国時代の終わり頃に赤井悪右門直正によって築かれた山城である。頂上の本城部分の他、周囲8kmにおよぶ猪の口山全体が巨大な城であったという。周辺には砦跡や黒井城を守る出城跡が残っている。昨年、市島町戸坂から城山へ登ったが、今回は美和地区から大野坂〜千丈寺山〜城山〜竜が鼻砦跡を巡る予定である。
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路傍には五輪塔が |
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休耕田は鹿の遊び場 |
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午前中所用があり、お昼前の出発となる。白毫寺の墓地に車をとめさせてもらい、大野坂への
道を歩く。山裾の休耕田は鹿の遊び場なのか足跡がいっぱい。圃場整備された田んぼだが、鹿
や猪の害が多くだんだん耕作されなくなっているようだ。路傍には謂われのありそうな不完全な
五輪塔が残っている。近くの乙河内には黒井城の家老が落ち延びたと言われ、今もその子孫を
名乗るお家が残っていると聞く。
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大野坂手前のお地蔵様 |
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大野坂は倒木で通行困難に・・ |
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大野坂への峠道は広く、昔は荷車なども往来したようだが、先日の台風ですっかり荒れ、岩
がゴロゴロした歩きにくい道になっている。標高190m付近にお地蔵さんがお祀りしてある。き
れいな花が手向けられ地元の人たちに大切にされてるようだ。
お地蔵さんから少し登ると大野坂。しかし、台風の倒木で見るも無惨な様相。幾重にも木が倒
れて深く掘れた峠が木で埋まったような状態だ。
くぐったり乗り越えてようやく尾根へのとりつきにたどりつく。
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千丈寺山への道 |
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千丈寺山 |
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数年前に歩いたときは尾根は雲の巣と藪で歩きにくかったが、切り開かれ歩きやすくなっている。
ただし、台風でおちた小枝や倒木で歩きにくくなっている。そうでなければ山のハイウエイだが・・。
木の間越に千丈寺山の尖った頭が見えてきた。少し下って藪っぽい急登をひと登りすると雑木の
千丈寺山。砦があったと思わせる平坦な山頂と土塁跡のような盛り土もある。
登ったと同じ傾斜を木に掴まってずるずるとすべりおりる。傾斜がゆるんだところに「イナツカ」と刻
まれたコンクリートの石柱。正面には城山の丸い山頂が姿をあらわした。 |
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ひこばえの田圃の向こうは、権現山 霧山 |
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ひとこぶ越えると深く掘れた兵主(ひょうす)峠。昨年はここに出てきた。南に下ると氷上高校を経て
兵主神社。兵主峠からすぐのところの大岩に立派な鉄のはしごが架けてある。はしごを登らず岩の上
に登ると今越えてきたばかりの千丈寺山とその向こうに五大山・愛宕山〜鷹取山・五台山が屏風の
ように連なっている。春日町側を見ると、田んぼのひこばえが黄色く色づき収穫前のようだ。市島町側
にはぴょこんと尖った親不知。
里では、丹波市初の市長・市議選挙の選挙カーの声が賑やかに響いている。今日から1週間は静
かな山里も賑やかになる。
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堀切跡 |
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ツツジの花 |
黄葉の道を少し歩き堀切の跡らしきところを越えると西の丸。平坦な西の丸はススキの藪。スス
キの穂をかき分け下るといよいよ本丸への急な登りだ。距離は短いが滑りやすい急登。
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これから歩く山々を望む |
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三日月山・五大山〜五台山 |
黒井側からが表だとすれば、こちらは裏側入り口、急登を登り切ると西の曲輪跡、そして一段上
の山頂が本丸跡。
ちょうどお昼時だが誰もいない。早速お湯を沸かしてベンチでお昼ご飯。展望は360度。これか
ら歩く予定のコースも望める。上から見るだけではわからないが、尾根道は倒木や藪だらけかもし
れない。
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尖った親不知 |
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安全山と水山の間に方須張山 |
少し靄っているので遠望はきかないが、西には千ヶ峰や笠形も頭を出している。安全山、水山と
方須張山、最奥は三国岳。東には、三尾山、鋸山、三嶽、妙高山と低山だが、名山の数々。山々
に囲まれての食事は贅沢やねぇ。
無線機をつけると神奈川から来られた人が六甲山からCQを出している。交信を終え、片づけて、
さあ出発。
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倒木がなければいい道だが・・・ |
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Ca240ピークから281ピークを振り返る |
一旦、西の丸まで戻り、西の丸から北東に281mピークをめざす。しばらく平坦な尾根を歩く。高城山
や金山にあった馬場のような尾根なので、ここも馬場だったかもしれないと父たぬきが言う。
春日・市島町界尾根なので切り開きはあるものの歩く人もなく、また台風の倒木などで歩きにくいこと
歩きにくいこと。これでは馬を走らせることなどできないな。
Ca250mピークを越えると、多田側へ下りる道がある。倒木と藪をかき分けながらさらに北東へ歩く。
281mピークへの登りはどこを歩けばいいの?というくらいの藪。尾根を巻いて何とか山頂にたどりつく。
南に黒井城山が大きい。山頂は平になっているようだが、藪でその先を確認する気が起こらない。お茶
を飲んで、少し下ったところから次のCa240mピークをめざす。ここはあまり風を受けていないのか、少
し歩きやすい。いったん下って、シダの茂る斜面を登り返す。
240m山頂には境界を示す標石が倒れている。地形図を見たとき、ここが砦跡かと思ったがそれを示
すようなものは残っていない。砦跡にしては狭すぎるようだ。
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281mピーク |
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下山すると正面に珪石鉱山の山々 |
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道のない急な斜面を木に掴まって下りていくと、すこし東により過ぎている。東の谷は植林でほとん
どの木が倒れて見るも無惨な姿。
左に尾根が見えるので軌道修正して尾根に戻る。倒木もなく穏やかな陽がさして今日のコースでは
いちばん歩きやすい。281mピークの南斜面は岩尾根で、小富士山の登りに似ている。こういうとこ
ろは倒木も少なくていいね。展望も開けている。振り返ると先ほどまでいた240mピーク、左手には
城山から千丈寺の尾根。登りきると低い赤松の混成林。足下に落葉松が柔らかい。丹波の山のいい
匂いがする。今日歩いてきたところがぐるーっと見渡せる。山頂は南北に細長い。最後の休憩をとっ
て北西に伸びる尾根を下る。張り出した枝を除けながら歩きやすいところを歩く。
尾根の先端から北に方向を変え、できるだけ傾斜の緩い方を選んで下りていくと、金網にぶつかる。
コンクリートの四角い建物があり上水道施設のようだ。工事のときに使われた広い道を下りると舗装
された道に出る。舗装路を少し歩くと美和川沿いの水道施設のところだった。正面に五台山南東稜の
山並みが長く伸びている。昭和30年代まで良質の珪石を産出していたところだ。
川沿いに歩いて車に戻る。藪や倒木で思ったより時間がかかったが、最初予定したコースを歩くこ
とができた。
戦国時代は戦いの場であったこの山域も静かに時を過ごしている。
※帰ってから、春日町観光協会のパンフレットを見ると、竜ヶ鼻砦は、281mピークではないかと思い
ます。また、「百間馬場」がその近くにあり、我々が馬場と推察した尾根がそうかもしれません。 |
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