静かな尾根歩き 室山〜荒木山〜コケズラシ
兵庫 丹波


竹田保育園近くからの室山


 慶佐次盛一著、「兵庫丹波の山」(上)を見ているとおもしろい名前の山が出てくる。表題のコケズ
ラシもその一つである。地形図を見ると、市島町の大杉ダムの東に続く尾根の途中にある。その尾
根を北に進むと親不知がある。今回は、福知山・氷上郡市島町界尾根にある室山から荒木山、そし
てコケズラシをぐるーっと周回した。

 その山域には高圧線が通っているのでその巡視路を利用できないかと、車一台を下山予定の市
島町市ノ貝に置き、もう一台で竹田保育園の奥にある池まで行ってみる。池の口と奥に巡視路を示
す関電の赤い標識があったので、奥の方に従って室山をめざす。この道は地形図の破線の道で山
仕事のためによく歩かれているようだ。しかし、谷が分かれるところで、このまま進むと室山より西の
尾根に出そうだったので東の谷を歩くことにする。しかし、この谷は荒れて歩きにくそうだったので谷
の南の斜面を登っていく。道はないが何とか歩けそうである。このまま登ると室山のはずだ。枝をか
き分け、歩きやすいところを見つけながらしばらく登ると、ぽっかり空間の空いた室山(点名下竹田
313m)に出た。

 
静かな室山 室山(点名下竹田)二等三角点

 「室山」という関西独標会の緑の看板がポツンと立っている。建設省の杭には「一等三角点」とある
が、二等である。
 東に明瞭な道がある。池の口にある標識から入ればこの道を歩けたようだ。室山から福知山・市島
町界尾根を歩いていく。福知山や市島町の杭と「タケダ」と書かれた白い木の杭が立っている。雑木
に囲まれたとても歩きやすい尾根だ。
切り開きから高谷山(左)と市島の家並み 快適尾根歩き

 南に開いたところがあり、市島町内や高谷山、妙高山などが望める。先ほど途中まで歩いた波線
の道が出てきている辺りにはそれらしき道は見あたらない。この辺りから317ピークまでは尾根が
いりくみ少しわかりにくいが、プラ杭を見落とさないようにすれば迷うことはない。赤と黄のベル山岳
会のテープや赤テープもある。
荒木峠 お地蔵様
 
 317ピークを過ぎ、下ると深くえぐれた荒木峠に出る。雰囲気は何となく春日・市島境の大野坂に
似ている。先に下りた父たぬきが「お地蔵さんがある。」と言う。いさんで下りると、市ノ貝側に比較
的新しそうなお地蔵さんがあった。誰かの供養のために建てられたのか、そのような文字が見える。
 荒木山側の木に「荒木山登山口」という小さなプレートがぶら下がっている。よく歩かれているよう
で踏み跡がしっかりしている。荒木山の登りはちょっときつい。汗も出てきた。と思っているうちに山
頂。直径10mほどの広さの丸い平らな山頂だ(416m)。ここも城跡である。室山と同じ緑の「荒木
山」という標識が立っている。木の陰にコーヒーの古い空き缶やビール缶が転んでいる。残念ながら
木に囲まれ展望はない。
荒木山山頂 峠に神奈備山への標識

 ここで昼食にする。雪が時々ちらちらと舞ってくるが、さほど寒さを感じない。照るとぽかぽかと暖
かい。どこかで11時半のサイレンの音がなっている。
 ゆっくりとコーヒータイムといきたいが、天候が心配だ。早々に出発する。荒木山の南西尾根を下
る。ここも雑木の快適な道。

 荒木山と親不知への尾根Ca500mピークとの鞍部には市ノ貝からの道と福知山市室への道が
ある。そして、土の上に「神奈備山416m」と「親不知登山口」と書かれた標識が倒れている。市ノ
貝側では荒木山は神奈備山と呼ばれているようだ。荒木という地名が福知山側にあるので、荒木
山は福知山側の呼び名ではないだろうか。
 この鞍部からはよく歩かれた道で、深く掘れている。しばらく登ると、四角い手水鉢があり、大きな
岩が行く手を阻むように横たわっている。岩の割れ目を登っていくと下に石垣を積んだちょっとした平
地がある。昔、祠かお堂があったようだ。その岩がご神体なのかもしれない。そういえば、テープが
尾根ではなく尾根を巻くようについていたが、そちらが本来の道だったかもしれない。
この岩の前に手水鉢 下に石垣の残る平地 親不知分岐

 少し狭い尾根を登りきると親不知への尾根Ca500mピークである。親不知まで1kmとある。緑の
テープには、福知山市室へと黒で書いてある。
 お茶を飲んで小休止し、親不知にはいかず南へ歩く。親不知〜鴨内峠同様、よく整備された道だ。
少し下ると切り開きがあり、大杉ダムが眼下に見える。五台山鷹取山も大きく見える。南側なので風
も当たらず暖かい。
尾根にはこんな木も 太い樅の木

 落ち葉の道を早足で下りていく。太い樅の木が元気に立っている。そういえば大原神社の裏山にも
樅の木があったね。「ほんまにええ道やね。」
 
右に下りると大杉ダムキャンプ場 コケズラシ四等三角点

 コケズラシ手前の鞍部に大杉ダムキャンプ場への下山路がある。が、その少し手前からPPロープ
がうるさいくらい張り巡らされている。松茸山入山禁止という立派な看板も設置してある。せっかくの
道もこうPPロープが多くては・・・。(T_T)
 分岐から30分でコケズラシ(点名市ノ貝 四等三角点310.3m)。三角点はいずこに、と見回す
と落ち葉に埋もれてちょこんと頭だけを出している。「あららら、こんなに埋まった三角点初めて。」
 「コケズラシ」という名前の由来はわからないが、氷上町には「長都羅志(ながずらし)」という山が
あるので「ズラシ」は同じ語源かもしれない。赤松の混成林のに囲まれた静かな山頂だ。
 両側がPPロープで飾られた道は延々と続く。いったんとぎれるがまたPPロープの道。鉄塔131の
手前でようやくなくなった。やれやれ。
鉄塔131から五台山 鉄塔から室山(鉄塔の左)

 鉄塔からは西に五台山鷹取山、北に親不知、東には室山。なかなかの展望だ。鉄塔から南へ巡
視路を歩く。PPロープのない道だ。しばらく歩くと巡視路は尾根から東へ下りている。
広い道(巡視路) 下りたところに電柵

 巡視路に沿って市ノ貝に下りていく。広くて歩きやすい道だ。鉄塔132,133を過ぎ、山裾の広い
道に出る。電柵を越えると車を置いたところからほんの50mの地点だった。
 今日も予定通りの山歩きができた。
 今回歩いた室山〜コケズラシは、親不知〜クロイシ山同様、静かな山歩きのできる尾根だ。

行った日 04 2/15(日)
行った人 たぬき二人
山行タイム 水西奥の池9:40〜室山10:10〜荒木峠10:50〜荒木山11:10ー11:40
〜親不知分岐12:25〜コケズラシ13:00〜巡視路分岐13:20〜農道13:40
2.5万図 福知山西部、福知山東部、市島、黒井