3日ほど前に水山に登ったとき、水山の西にカヤマチ山がにこっとして「おいでよ〜」と手を振って
いたので、迷わずカヤマチ山へ行くことにする。
霧が深いが移動性高気圧におおわれ好天という予報。清住の達身寺へ向かう。達身寺は丹波
の正倉院とも言われ、国の重要文化財など、たくさんの仏像が安置されている。
達身寺を起点に、清住谷から十九山へ登り、柱谷〜カヤマチ山〜方須張山〜西山へ下る予定で
ある。コンパスと地図があれば迷うようなコースではないが、十九山への登りと台風後の尾根の様
子がどうなっているか心配。
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丹波の古刹 達身寺 |
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寺の坊跡 |
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達身寺あたりは標高が150mほどあるので、霧も薄く、茅葺きの屋根にやわらかな朝の陽がさ
している。
山支度を整え、清住谷川ぞいの桜の咲いた道を歩いていく。林道入り口の猪柵開けて入ろうと
すると、そばのネットに白骨化した鹿の頭部が引っかかっている。父たぬきは「見せしめのために
置いてある。」というが・・・。
柵からすぐ近くに「寺の坊跡」という石碑が立っている。このあたりに達身寺の坊があったのだろ
うか。何かが立っていても不思議ではないほど広くて平坦だ。
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林道 |
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急登から振り返ると篠ヶ峰 |
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台風で倒れた木は伐採して整理されている。林道を10分ほど歩くと、「片手矢口 左方土」と
書かれた看板がある。ここが林道の分岐で、以前、水山と十九山の鞍部から道のない急な谷
を転がるように下り、出てきたところである。
十九山へは、林道をつめて前回の逆コースを歩いて水山との鞍部に出るか、直登の尾根にと
りつくかである。父たぬきは、「どちらをとってもしんどそうやから、谷より尾根の方がいい。」と言
うので、分岐の近くの尾根を登ることにする。
植林の中だが、枝が張りだし藪っぽい。倒れた松も歩きにくさを増幅する。その上、急登ときて
いてはしんどいばかりだ。360mピークの前後は若干傾斜がゆるみ歩きやすいが、藪・やぶ・ヤ
ブ・・・。その先は等高線の間隔が狭い。振り仰ぐと、これから歩く尾根は植林と雑木の植生界
のようだ。林道から十九山までの標高差は約450m。そのうち300mほどは急登。私が案じて
いると、「我々の脚力をもってすれば大丈夫!」と父たぬきは楽観的。
右が植林、左は雑木の尾根をなるべく歩きやすいところを選んで登っていく。心臓は早鐘のよ
うに打っている。「ちょっとペース落とそか。」
振り返ると篠ヶ峰が朝の顔を見せている。氷上盆地は霧の底、先端が尖った弘浪山、白山。
青空に黄葉が映える。「いいねえ。」
腕時計の高度計は急激な高度の変化に対応できず、実際の高度より少し低めに表示してい
る。少し休むと高度計も追いついてきた。
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黄葉を仰ぐ |
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植林の十九山 |
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右の谷は植林だが、倒木がひどい。谷を登らなくて正解だ。太い樅が多くなると十九山も近い。
登りきった頂上は植林で少し東に歩くと最高点(677m)。木の間にちょこんと尖った水山が見
える。
お茶とおやつで小休止し、次の柱谷をめざす。台風の影響を案じたが、倒木などがあるものの
何とか歩ける。いったん下って雑木の斜面を登り返すと柱谷(701.2m三等三角点 点名清住)
山頂。三角点から少し西に歩くと、北側が開け、雲海の福知山盆地に浮かぶ烏ヶ岳が島のよう。
反対側には三国岳が近い。台形の三国岳はどこからでも同定しやすい。
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柱谷付近から三国岳 |
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福知山盆地の雲海と霧のない青垣町 |
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またしばらく歩くとミヤマシキビが群生する切り開きに出る。ここからは大きく腕を広げたような
五台山が東に覗いている。眼下には丹波少年自然の家。周辺の山々の斜面が黄葉しきれいだ。
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五台山(中央)と鷹取山(右) |
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柱谷 |
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赤白鉄塔の岩屋山も大きく見える。車で上がるときのカラー道路が山腹に白い筋を付けている。
「あの道からいつも見ている尾根に今いるんやね。」
カブト鉢、竜王山の剥こうには、伏見山、三嶽山、大江山連山。少しもやっているが小春日和の穏
やかな景色。寒い冬を前にのんびりと横たわっているように見える。 |
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尾根から北の展望 (左手前は岩屋山 中央奧は三岳山) |
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アップダウンはあるものの720m前後のところを上下している。少し藪っぽいところを抜けるとま
た歩きやすい尾根。
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来春にはきれいな花を咲かせてね |
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シャクナゲのトンネル |
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細い尾根に大きな葉が目につく。「シャクナゲや!」 花芽がついている木もあるが、ヒカゲツツ
ジに比べて開花は少ない。シャクナゲのトンネルもある。この木に花が咲いたらどんなにすばらし
いだろう。台風の強風にも耐え、来るべき春を待っている。来年の春はどんな花が咲くのかな?
726mピークの手前ピークには大柿さんのプレートが木にくくりつけてある。あの日、3人はここ
でお昼ご飯を食べたのかな?
丸い頭のカヤマチ山が近づいてきた。でもまだピークを2つ3つ越えないといけない。カヤマチ山
でお昼の予定だが、この調子ではその頃には着けそうだ。 |
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ドウダンツツジの赤が青空に映える |
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カヤマチ山 |
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シャクナゲの尾根から岩の多い尾根になる。大きな岩がごろごろしている。岩をまいたりしながら、
ようやくカヤマチ山の北のピークの登りにかかる。少し急だがひと登りでCa730mピーク。少し南に
歩くとカヤマチ山山頂(二等三角点 点名葛野峠 748.3m)。植林の中の静かな山頂にプレート
がたくさんぶら下がっている。三角点のところは少し暗いので、すこし南の大きな岩がゴロゴロした
ところでお昼にする。
お湯を沸く間、おにぎりを食べ、野菜ジュースを飲む。ごちそうはないが、山の空気をいっぱい吸い
ながらの食事はとても贅沢だと思う。今日はまだ先が長いので食後のコーヒーはパス。携帯伝言板
を見ると、OAPさん、JMMさんは駒の尾山。無線でコールすると三木のMXFさんからコールがある。
OAPさんとも繋がるが、下山にかかるので少しだけお話しして葛野峠への急な斜面を下る。
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植林の葛野峠 |
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方須張山 |
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下りきった葛野峠は植林の中で薄暗い。ここから方須張山へは高度にして100m以上登り返
さなくてはならない。一瞬、葛野峠から下りてしまおうかと弱気が顔を出しかける。陽は傾きかけ
植林の中に長く影を落とす。急がないと暮れてしまうかも・・・。このあとの尾根の状態によっては
何時に下りられるかわからない。
方須張山への急登をできるだけ楽なようにジグザグと登っていく。お昼ご飯のあとはいつも足
が重いが今日は特に重い。
明るくなったなと顔を上げると方須張山(716m)。氷上盆地から見ると、丸いカヤマチと対照的
に尖った山だが、山頂は意外と広い。大柿さんのプレートが風に揺れている。
山頂から西に歩くと舟坂峠。我々は東へ西山への長い尾根を歩く。お茶で一息入れ、出発する。
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木の葉のじゅうたん |
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赤い線は登った尾根 |
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歩き始めるときれいな尾根で落ち葉の絨毯を敷き詰めたようだ。しかし、しばらくするとたくさんの
枝が落ち、倒木も目立ち始める。黄色のプラ杭が行く手を案内してくれる。
北斜面が倒木でぽっかり空いた空間から十九山と水山がのぞいている。朝登った尾根も見える。
「あんな急な斜面やったんや!」 「しんどかったはずやね。」
丹波らしい少し藪っぽい尾根。赤松、杉、桧。同じような光景の尾根を何度も登り返して453mピ
ークまで来る。これまでだいたい南東に下ってきたが、このピークでは尾根は南へ方向を変えてい
る。父たぬきは、南東に尾根を見つけ下りようとする。「その尾根は違うよ。こっち!」と呼び戻し事
なきをえる。
細い尾根を歩きゆるくアップダウンして登り返したところが西山((四等三角点 351.5m)。木々
に遮られて展望はない。パンとお茶で休憩。ようやくここまでたどりついた。ここまで来ればもう少し。
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伐採地から南の展望 |
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どこを歩けば・・・ |
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西山からは南東と南西に尾根が分かれているが、南東を下りる。なだらかなところまで下りると
伐採地があり展望がよい。南正面に東峰山、その右の篠ヶ峰、逆光の中に竜ヶ岳が霞んでいる。
半島のように出た森山の向こうは弘浪山。のどかな山里の秋。
さあ、もう少し。しかし、このさきのCa270mピークまで来ると倒木と伐採された雑木でどこも歩
けない状態。「今日のコースではいちばんひどいところやなぁ。」 倒木で足のあちこちを打ちなが
らようやく下りの尾根にとりつく。
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猪柵をあけて出ると里も近い |
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黄葉したイチョウの向こうに森山 |
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急な斜面を下ると猪柵に突き当たる。ちょうど戸のところだったので開けようとするが、針金がほ
どけない。五分ほど奮闘してやっと戸の外へ。やれやれ。細い踏み跡を下ると、黄色の世界に飛
び出る。黄葉したイチョウが陽に照らされてさらに色鮮やかだ。その向こうに森山。
村の中を達身寺まで歩いていると、青空にくっきりと水山、十九山。今日も予定通り歩けてよかっ
たね。(^_^)
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