昨年、この時期に大御影山へ行っている。イワウチワやカタクリが少し盛りを過ぎた頃だったが
それでもたくさん咲いていた。
今年も同じ時期にお隣の大谷山から赤坂山へ行くことになった。若狭の山へ行くときはいつもの
やまごさん。
舞鶴道を走っていると、父たぬきが「あれ?」と妙な声を出す。「うしろの車、やまごさんちがうか
な?」
無線でコールするとすぐにつながり、やはりやまごさんだった。渓流の里が集合場所だったが、2
台そろって赤坂山登山口に向かう。
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おさるさんがのんびり歩いている |
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山間に入ると、おさるさんが歓迎の挨拶に出てくる。父たぬきは予期せぬ出来事に少し興奮気
味。このあたりではごく当たり前の光景らしい。
前日の雨で山の上の方はガスっている。予報では快復すると言っていたが、秋の三十三間山
の例もあるし・・・。
渓流の里を過ぎ、林道を走る。新緑が瑞々しい。途中で折戸谷への林道は入り、少し荒れた路
面を慎重に運転する。水量の多い渓流が音を立てて流れている。今年は雪解け水も多いだろう。
赤坂山登山口に一台置き、やまご車で粟柄林道を登っていく。山腹をぬって高度を上げていく。
山桜が満開。陰にはまだ1m以上の雪が残っているところもあり、車一台通るのが精一杯。
見覚えのある東屋に車を停め、大谷山に向けて出発する。
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粟柄林道の大谷山登山口 |
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残雪の上を歩く |
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林道沿いにはトクワカソウの群落があるはず、と見上げると、ピンクの花が一面に咲いている。
早速撮影モード。昨年、大御影山に来たときはほとんど咲いていなかったが、今年は我々の訪
問を待ってたかのよう。
ワクワクしながら、登山口の案内に沿ってブナの林へ入る。新緑と残雪、そして足下にはトクワ
カソウの花。まだ蕾のものが多く、林の中はこれから咲くようだ。
南の谷を挟んだ尾根の斜面にはタムシバが満開。谷には残雪。陽がさしはじめ、ブナの新緑
が緑の影をつくる。
残雪の上をザックザックと歩く。今年最後の雪上歩き。いいねえ。
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曲がった木 |
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マンサク |
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しばらく歩くと、ブナ林から根元のまがった木に変わる。よく見ると、すぐ目の前に黄色いマンサク。
見渡すとあちこちに咲いている。こんなところでまた出会えるなんて・・・。(^^)
あたりは次第に木から笹に代わり、正面になだらかな丸い山と笹原の中の1本の道。こちらもいい
ねえ。小さな鞍部にマキノからの道が合流している。標識には「マキノ石庭」とある。
やまごさんは、「琵琶湖が見えない。」と嘆いている。天気は快復してきたが、まだ山々は雲をかぶ
ったまま。
大谷山ではどんな景色が待っているのだろう。ワクワクしながら緩い道を登っていく。風に乗って若
い声が聞こえてくる。気のせいかと思ったが、マキノ側の谷から若者のグループが登ってきているよ
うだ。
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琵琶湖を望むやまごさんと反対側を見る父たぬき |
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平らな山頂(813.9m)には山名板と三等三角点があるだけ。琵琶湖は微かに湖面を見せ、竹生
島も霞んでいる。北には三角の三国山、その手前に赤坂山。遠そうだが、こんないい道ならそれほど
時間もかからないだろう。いつも藪を歩いているたぬきにはハイウエイのような道だ。
若者グループの姿が稜線に姿を現した。我々もそろそろ出発!
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大谷山から寒風をめざす |
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大谷山からも笹原の道。岡山の山にも多いね、こんなところ。南斜面にも雪が残り、今冬の雪の多
さを物語っている。足下にはカタクリの葉。花も咲いている。
「こんなところに出てきたら踏まれてしまうのに・・。」
登山道にたくさんのカタクリ。まだ葉が1枚だけのものも多く、何年後かに花を咲かせるものも。笹の
中にも花が咲いている。
「ここにもかたくり、あっそこにも。」
足下を気にしながら景色も見なければならないし、ほんとうに贅沢な道だ。
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大谷山を振り返る(右 残雪の山は大御影山) |
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下って登り返すと、大谷山が遠ざかる。山頂には若者の姿が見えるがこちらに来る様子はない。
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寒風 |
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こちらにもブナの林が |
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Ca850mに来ると、数人のグループが昼食中。ここにもマキノからの道があり、寒風と呼ばれてい
るピークだ。すぐそばにカタクリがまとまって咲いている。
寒風をすぎると、またブナの林。遮るもののない道を歩いてきたのでブナの木陰は涼しい。足下に
小さな白い花。オウレンだ。花の形からするとバイカオウレンか。
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三国山と赤坂山が近くなってきた(やまごさん、父たぬきが小さく見えます) |
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ブナの森はいつの間にかまた笹原に。滋賀県側は急斜面。崩れそうな山肌に土止めが施されて
いる。三国山・赤坂山が少しずつ近づいてくる。お腹も空いてきた。841pの東への登りが意外にき
つい。カタクリは絶えることなく咲いている。群生ではないが、あちこちに咲いて飽きさせない。
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粟柄越の石仏 |
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にぎわう赤坂山山頂 |
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粟柄越まで来ると、マキノからたくさんの人々が登ってくる。さすが、花の時期は人気の山。真
夏に登ったときは若い男女1組に出会っただけだったが、今日はお祭り並みの人出。寒風から
見たとき、山頂にごつごつした岩でもあるのか?と思ったが、確か岩はなかったはず。それはす
べて人だったのだ。
栗柄越には、大きな岩に石仏が安置してある。後日、やまあそさんに尋ねると馬頭観音とのこ
と。いつ頃のものなのか、表面が少し摩耗している。
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左 三国山 赤茶けた明王の禿 右は乗鞍岳 |
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空腹を感じながら、登りきると赤坂山山頂。たくさんの人でごった返している。貴公子さんも赤
坂山に来ておられるはず、と見渡すが姿が見つからない。携帯電話をかけると三国山からこち
らへ向かっておられるという。しかし、シャリバテで明王の禿あたりで食事にするという。話して
いると、さとゆきさんと出会った、父たぬき。笠をかぶって登ってくる人が?と見れば父たぬきで
あったと、さとゆきさん。実は、帰宅して写真を整理していると、山頂到着時刻を記録するために
写した写真の中にさとゆきさんが写っておられたのだ。お義父様と日本高山植物保護協会の観
察会に参加されていた。
日陰がないので、北側を見ながらお昼ご飯を食べる。デザートは凍らせたゼリー。食べ終わり
南側に移動すると、琵琶湖から吹き上げる風が涼しい。と、見慣れた貴公子さんの顔がひょっこ
り現れる。空腹を我慢してここまでこられたとか・・。早速、手作りのお弁当をおいしそうに食べ
始められた。
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無線をする |
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貴公子さんと一緒に下山 |
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父たぬきは、途中からずーっと持ち歩いていた枯れ木に手作りのワイヤーアンテナをくくりつけ、
無線をしている。
「赤坂山は木がないので、途中で拾ってきた。」(^^;)
笠をかぶって無線をする姿は目立つ。本人は周囲の目も気にせず、無線機からの声に集中して
いる。
やまごさんは女性のグループに写真撮影を頼まれるが、シャッターを押してから5秒間はじっと
していて、と言われている。そんなデジカメあるんかなぁ・・・。
東には、三国山、明王の禿、その右に乗鞍岳。山名板には西の方に三重嶽の表示があるが、
みえるのかな?
少しずつ下山していき、山頂はちょっと風通しがよくなってきた。我々もそろそろ下山にかかろう。
マキノ側に下りる貴公子さんとお別れし、3人は栗柄越から折戸谷へ下山する。
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こちらも気持ちのよいブナ林 |
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ズボッ! |
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こちらもブナが多く、しかも道沿いの斜面にはトクワカソウが群生し、ちょうど見頃。深く掘れた道
には雪もたくさん残っている。やまごさんが歩くと、ズボッと太ももまで雪の中に入り込んでしまう。
「真ん中でなく、なるべく端の方を歩いた方がいいね。」
雪の下は空洞になり、雪解け水が勢いよく流れている。
トクワカソウに加え、カタクリも咲いている。斜面には小さい群落も見られる。小さな雪崩の起きる
斜面には花が多いとやまごさん。イカリソウ、つぼみのヒトリシズカ、エンレイソウ、そしてオウレン
も。
「大谷山よりこちらの方がはながいっぱい。」とやまごさんはうれしそう。
「花ばかり見ていると、目が花の形になりそう。」
ミヤマカタバミも陽を受けてうれしそう。
イカリソウが多くなると、登山口も近い。登山道沿いにはトリカブトも多い。秋には紫色に彩られる
ことだろう。その頃にも来てみたいね。
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五つに分かれた木 |
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折戸谷の赤坂山登山口に到着 |
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1時間15分ほどで赤坂山登山口に下りたつ。もう少し歩いていたい、そんな思いを持ちながら登
山靴を脱ぐ。車の近くの二輪草が我々を迎えてくれる。
粟柄林道の大谷山登山口近くのやまご車を置いたところへ向かう。イカリソウ、そしてイチリンソ
ウ。車を停めて写そうとすると、すぐ上に鹿の屍。そのうちイチリンソウとなって花を咲かすのかもし
れないな。
もうすこしトクワカソウを写すというやまごさんと別れ帰路につく。少し下ると、道沿いのがけの上
にピンクの花が・・・。車を降りて双眼鏡で確認すると、思った通り。今年は当たり年で、各地で美
しい花を咲かせているという。最後にうれしい出会いもあり、花に始まり花に終わる山歩きだった。
このあと、やまご車にハプニング。それを知ったのは綾部を過ぎてからのことだったが、何とか帰
ることができたようだ。
やまごさん、今回もいい山を紹介してくださってありがとう。また行きましょう!
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お花たちはこちらをご覧くださいね。 |
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